月の珊瑚2-坂本真綾mp3下载无损flac下载
月の珊瑚2-坂本真綾在线试听免费歌词下载
[00:01.48](三)
(三) [00:03.96]ディスレクシア、学習障害の一種。
失读症,属于学习障碍。 [00:09.94]知能水準は平均に達していながら
拥有正常的智力, [00:12.86]文字を正しく理解しない症状。
却无法正确理解文字。 [00:16.42]ディスレクシアにとって
在患有失读症的人眼里, [00:18.34]文字は水面にこぼれた油のように映るという。
文字就像飘浮在水面的油脂。 [00:22.97]私の耳はそれに近い
我的耳朵也差不多。 [00:27.06]生まれつき音の美しさが分からない。
天生无法分辨声音的美感。 [00:31.83]音に頼る情報を
无法理解 [00:33.71]情報として理解できない。
使用声音传递的信息。 [00:36.93]私にとって世界は
对我来说, [00:38.91]テキストとテクスチャーで構成されるものだ。
世界由文字和纹理构成。 [00:42.94]誕生から永眠する時まで
自诞生到永眠, [00:45.72]会話とは無縁だった。
都与对话无缘。 [00:50.24]そんな人間が
这样的人 [00:51.54]こんなカタチで記録を残すのは不本意だが
只能使用这种方式留下记录 [00:54.77]仕方がない。
也是没办法的。 [00:57.24]彼女は多くの事柄を貪欲に学んだが
她贪婪地学习了许多事物, [01:00.56]読み書きだけは、最後まで修得しなかった。
但是到最后,也没能学会读书写字。 [01:06.74]私が生まれた時、既に西暦は失われていた。
◆我出生的时候,西历已经消失了。 [01:12.37]人類は末期を通り越し
人类已到晚期, [01:14.75]後は永眠するだけのターンに差し掛かっていた。
最后能做出的选择只剩下永眠。 [01:19.90]復興された第十二衛星都市が私の故郷だ。
我的故乡,是得到复兴的第12卫星都市。 [01:24.88]人口一万人をかろうじて維持する
人口勉强维持在1万人, [01:27.76]優れた文明圏と言えるだろう。
应该能够称得上是优秀的文明圈吧。 [01:31.43]その年、第十二衛星都市での死亡数は1
那一年,第12卫星都市的死亡人数是1。 [01:37.06]誕生数は0だった。
出生人数是0。 [01:40.65]かつてこの惑星では
这颗行星 [01:42.67]一秒のうちに一人の命が失われ
曾有过在1秒内,1个生命消逝, [01:46.01]三人の命が誕生していたと記録に残っている。
3个生命诞生的记录。 [01:50.76]マイナスよりプラスの方がやや上回る
增加的要比减少的要稍微多一些。 [01:54.38]それが人間の、種としての優位性だった。
这就是作为人类的优越性。 [01:59.06]その優位性は、もはや見る影もない
这种优越性,早已不见踪影。 [02:04.48]反面、地上の環境問題は軒並み解決していた。
另一方面,地球的环境问题一个接一个得到解决。 [02:09.68]人類が解決したのではなく
这并非是由人类解决的, [02:12.56]この惑星が長い忍耐のすえ持ち直した結果だ。
而是这颗行星在长期忍耐以后,恢复原样的结果。 [02:18.59]太陽と水と空気は貴重なものになったが
太阳、水和空气变得珍贵, [02:22.16]依然として地に満ちている。
却依然遍布大地。 [02:25.44]かつてのような繁栄は望むべくもないが
虽然再也不可能恢复过去的繁荣, [02:28.70]繁殖するだけなら何の問題もない。
但只是繁殖的话没有任何问题。 [02:32.11]にもかかわらず人口グラフが右肩下がりなのは
尽管如此,人口统计图还是在不断地下跌, [02:36.84]ひとえに、人間という種から意欲が失われたからだ
这完全是因为人类这个物种失去了欲望。 [02:43.02]やる気と言ってもいい。
也可以说是失去了动机。 [02:45.85]進化の道を突き進むには燃料が必要で
想要在进化的道路上前进需要燃料, [02:50.04]人間はその燃料を使い切った。
然而人类已经耗尽了这种燃料 [02:53.65]生命の例に漏れず
和所有生命一样, [02:55.89]我々とて自己保存を基本としていたが。
我们也以物种的延续作为基础, [03:00.09]その基本装置を動かす為に必要なものがあるとは
但是没有人意识到,想要维持这一基本机制, [03:04.03]誰も気付かなかったのだ。
不能缺少某样东西。 [03:07.49]そういった熱量はひとりひとりのものではなく
这种能量并非属于个体, [03:11.66]種全体で消費するものだった。
而是由整个种族共同消耗。 [03:15.55]はじめから総量が決まっていたのだ
从一开始就决定了总量。 [03:19.58]当然だろう。
当然。 [03:21.48]形而上のものであれ
这是一种形而上的东西, [03:23.67]この宇宙に無限の資源など存在しない。
这个宇宙不存在无限的资源。 [03:28.17]我々の宇宙は閉じており
我们的宇宙是封闭的, [03:30.86]最後には無に帰る事で
最后会回归虚无, [03:33.25]帳尻を合わせるのだから。
所以需要让一切合理。 [03:36.42]それでも種を存続させよ
即使这样, [03:38.36]うと努力する人々がいた。
也有人努力想要延续种族。 [03:41.13]私はその一員として
我作为其中一员, [03:43.57]都市の住民権を与えられた。
得到了都市的居民权。 [03:47.89]復興は大きく
复兴大致分为 [03:49.94]蘇生と維持のセクションに分けられる。
复苏和保护2个部门。 [03:53.40]蘇生セクションは感受性や文明の復活を。
复苏部门负责复活感性和文明。 [03:58.07]維持セクションは文字通り
保护部门正如其名, [04:00.20]失われていくものを押しとどめる。
负责阻止正在消失的事物。 [04:03.05]それは技術の話でもあり
这是一项 [04:06.45]命の話でもある。
关乎生命和技术的工作。 [04:09.23]自殺を未然に防ぐのが
预防自杀 [04:11.87]維持セクションの主務だった。
是保护部门的主要任务。 [04:16.27]私は維持セクションに回された
我被分配到了保护部门。 [04:19.79]人類を維持する為に娯楽は必要だ。
想要维持人类生存,少不了娱乐, [04:23.58]ぶらさげられた人参としてではなく
并非要把饲料绑在人类的眼前; [04:26.47]文明の水準向上に
想要提高文明水准, [04:28.55]これほど有効な手段もない。
没有比娱乐更有效的手段。 [04:31.86]通信、ネットワークは
通信和网络 [04:34.49]人々が生きる上でもっとも重要で
在人们的生命中最为重要, [04:37.36]かつ基本的な“娯楽”だった。
在过去,属于是基本的“娱乐”。 [04:40.50]私はその管理と
我则是负责管理与 [04:42.52]発展を任された最後の一人だ。
发展这项工作的最后一个人。 [04:46.86]私の生まれた年代は
我出生的那个年代, [04:49.50]遺伝子操作による優秀種
是一个尝试通过编辑基因, [04:52.63]デザインベビーが試された年代でもある。
获得优秀物种和基因编辑婴儿的年代。 [04:56.53]成功例はゼロ。
但是成功率是0。 [04:59.06]彼らは生まれた直後
他们出生以后立刻就停止呼吸, [05:01.02]自ら呼吸を止めて永眠した。
进入了永眠。 [05:05.13]もういい
已经够了。 [05:06.56]そこまでして続けたくない
不需要做到这种地步, [05:08.89]という人類の総意だと
这就是全体人类的意见, [05:11.42]ある科学者は嘆いたという。
某位科学家感叹道。 [05:15.40]試みは次の段階に入った
实验进入了下个阶段。 [05:18.28]意識の働きで心臓が止まるのなら
如果是靠意识停止了心脏, [05:21.32]本人の意思では止まらない心臓を作ればいい。
那么制作一个不会被意识停止的心脏即可。 [05:25.61]本当の意味で機械的な人間をデザインすれば
只要在真正的意义上设计出机械式的人类, [05:29.78]彼らは生きることを余儀なくされる。
那他们就不得不活着。 [05:34.04]その試みは何件か成功した
该实验成功过几次。 [05:37.70]多少の不具合……五感
他们多少有些缺陷… [05:41.29]人としての感性に
比如在人的感情 [05:43.11]何らかの障害を引き起こしたが
和五感方面出现障碍, [05:45.90]生物学的には間違いなく人間だった。
但在生物学上,他们毫无疑问是人类, [05:49.69]そうであると私は聞かされている。
这就是我所了解的。 [05:53.97]ともあれ
不管如何, [05:55.23]飽くなき探求心
这就是无尽的求知欲 [05:57.18]不屈の精神の賜だ。
以及不屈的精神带来的恩赐。 [06:00.29]人類がこの惑星で
这颗行星上, [06:02.11]もっとも栄えた理由の一つを。
人类最为繁荣的 [06:04.51]蘇生セクションのスタッフは
其中一个原因是 [06:06.36]まだ維持していた。
因为有复苏部门的维持。 [06:09.72]私は彼らのようにはなれなかった。
我无法和他们一样。 [06:14.94]音を、会話を知らない私にとって
无法理解声音与对话的我, [06:18.45]世界はもっとシンプルであってほしかった。
希望这个世界变得更加简单。 [06:22.13]情報の海を広げる作業中
在扩充信息海洋的工作中, [06:25.22]宇宙開拓の名残を見付けた。
我找到了开拓宇宙的痕迹。 [06:28.98]帰ることを考えなければ
如果不考虑回地球, [06:31.29]月への航路は幾つか残されていた。
还剩下几条能够前往月球的航线。 [06:35.76]私が月を目指したのは
就因为这种理由, [06:38.62]それだけの理由である。
我把月球定为目标。 [06:42.43]ロケットを修復し
修复、 [06:44.45]造りかえ
重建火箭, [06:45.97]自分の体も少しずつ
调整身体 [06:48.28]宇宙飛行に堪えられるよう調整した。
适应太空飞行。 [06:52.17]復興を掲げながらも
在高举复兴大旗的同时, [06:54.47]病的なまでに他人に無関心な都市の人々は
异常对他人漠不关心的都市人 [06:58.63]私の作業に注意を払わなかった。
完全没有注意到我的工作。 [07:02.75]役割さえこなしていれば
只要完成自己的职责, [07:05.22]誰も私生活には干渉しないのだ。
就没有人干涉我的私生活。 [07:08.80]私は二度とは脱げない宇宙服に着替え
我穿上再也不会脱下的宇航服, [07:13.08]ロケットに乗る時でさえ
就连登入火箭的时候, [07:15.17]戸惑いは浮かばなかった。
也没有一丝犹豫。 [07:18.38]故郷に戻れない事への恐怖はない
我没有对无法回到故乡感到恐惧。 [07:22.12]宙に昇ってからの不安もない。
也没有对升空感到担忧。 [07:25.87]月面都市に生命反応はないが
月面都市没有生命反映, [07:28.54]施設はいまだ稼働している。
但设施仍在运转。 [07:31.40]最低限の生活水準は保証されており
最低限度的生活能够得到保障, [07:34.83]また、見積もりが甘ければ甘いで
虽然我的准备太过儿戏了, [07:38.07]愚か者が一人死ぬだけである。
但是最多不过是死掉一个蠢货。 [07:41.96]ロケットは地球の表面を二回ほど回ってから
火箭会在地球表面环绕2周, [07:45.89]ゆるやかに月の重力圏に入った。
然后缓缓进入月球的重力圈。 [07:49.90]その過程で
在这个过程里, [07:51.48]かつて暮らしていた世界を見下ろす事になった。
我俯瞰着曾经生活的世界。 [07:56.42]胸に飛来したものは強烈な罪の所在だ
强烈的罪恶感涌现在胸口。 [08:02.58]私は人間を憎んでいる訳ではない
我并非憎恨人类。 [08:05.80]ただ、彼らと関わりを持ちたくなかっただけだ。
只是不想和他们有关联。 [08:13.00]人々の希望になるよう願われて生を受けたが
我在人们的期待下诞生, [08:16.99]私は、自分の事だけで精一杯だった。
但我顾及自己就已经筋疲力尽。 [08:22.02]私にはネットワークと
我只需要网络 [08:24.21]自分と、狭い部屋が一つあるだけでいい。
和一间小小的房间即可。 [08:29.58]音のない世界で
在没有声音的世界里, [08:31.66]情報を目で追っていれば幸福だった。
只要能用眼睛追踪信息就足以让我幸福。 [08:35.29]月でなら誰に邪魔をされることなく
在月球上,没有人会来妨碍我, [08:38.58]ひとりで引きこもっていられるだろう。
可以一个人关在房间里。 [08:41.95]私は何を、誰を殺した訳でもない。
我并非杀是死了什么、杀死了谁。 [08:47.54]ただ自分と、人間を見捨てただけ。
只是抛弃了自己和人类。 [08:52.21]何もかもが面倒になって
一切事物都变得琐碎, [08:54.69]相互補助の繫がりを
互补的联系 [08:56.99]物理的に断ったのだ。
从物理上被切断。 [09:01.95]月面への到達には
◆想要抵达月面, [09:04.38]多少の手間が必要だった。
有几道必须的手续。 [09:07.76]地球からの観測で判明していた事だが
从地球上可以观测到, [09:10.97]月の大部分は氷の膜で覆われていた。
月球几乎被一层冰覆盖。 [09:15.83]月面に造られた七つの都市を守るようにできた
这张蓝色顶篷似乎是在守护 [09:19.43]青い天蓋だ。
月面的7座都市 [09:21.98]地上から飛び立つ時
火箭从地球起飞时, [09:24.13]もっとも手間を取らされたのが
最麻烦的是 [09:26.24]この侵入経路の算出である。
计算侵入月球的路径。 [09:29.76]氷の傘の隙間にすべりこむ突入経路の計算に
光是计算闯入冰伞之间的路线, [09:33.89]一月を費やした。
就花了一个月。 [09:37.02]個人的な所感だが
这是我的感想, [09:39.20]計算にとり組めばとり組むほど
越是计算, [09:42.33]この氷の用途は測れなかった。
越难以推测冰面的用途。 [09:45.68]いかなる意図で造られたものか
如果负责人还在, [09:48.20]責任者がいるのなら問いつめたいと
无论建造的目的是什么, [09:51.02]不満をこぼしたほどだ。
我都想要向他发泄不满。 [09:53.74]もっとも
当然, [09:55.36]その不満を聞き届ける者は
已经没人 [09:57.75]もういない。
能听我抱怨了。 [10:00.07]月の表面に降り立ち
降落月球表面, [10:02.14]都市部に入る。
进入都市。 [10:04.06]生命反応はない
没有生命反映。 [10:06.32]七つの都市は
七座都市 [10:07.74]そのすべてが墓標だった。
全都成为了坟墓。 [10:11.15]電気の明かりだけが
只有电灯的光 [10:12.88]灰色のモニュメントにまたたいている。
照射在灰色的纪念碑上。 [10:16.71]上空を見上げると
抬头看向上空, [10:18.60]厚い氷壁の中で太陽光がゆらめいている。
太阳光摇曳在厚实的冰层里。 [10:23.90]ヒトのいない建物は岩礁のように
无人的建筑就像岩礁, [10:26.96]仄暗いブルーに沈みこんでいる。
浸泡昏暗的蓝色下。 [10:30.84]これでは月面というより海底だ。
这是名为月面的海底。 [10:35.83]ふと、宇宙服に包まれた手を見下ろした。
我突然低头看了看宇航服包裹的手。 [10:41.22]月面での生活用にふくれあがったソレは
膨胀在体表的是, [10:44.48]ブリキの潜水服そのものだ。
在月面生活中需要用的铁皮潜水服。 [10:47.92]私は昇ってきたつもりで
我自以为成功地飞到了这里, [10:50.61]月の底に落ちてきたらしい。
实际却是跌入了月球的海底。 [10:54.62]ともあれ、まずは資源の確保が重要だ。
总之,重要的是先确保资源。 [10:59.98]月の第五都市マトリを拠点にして
我将月球第五都市马特里作为据点, [11:03.22]月の裏側に向かった。
前往月球背面。 [11:06.37]七つの都市に水素を
因为给七座都市 [11:07.87]提供する炉心がある為である。
提供氢的堆芯就在那里。 [11:11.23]しかし
可是。 [11:12.99]私はそこで
在这里, [11:15.04]一度だけ自分の正気を疑った。
我第一次怀疑了自己的精神状态。 [11:20.03]地上からでは決して
地球上绝对观测不到的 [11:21.28]観測できない月の裏側は
月球背面, [11:24.00]灰色の森だった。
居然是一片灰色的森林。 [11:27.38]石灰で出来た樹木
石灰筑成的树木。 [11:29.87]ソラを覆う分厚い氷。
覆盖天空的冰层。 [11:32.44]その中心
在中心位置 [11:34.55]主要元素である
提供氢、碳、 [11:36.10]水素、炭素、酸素、窒素を提供する炉心に
氧、氮等重要元素的堆芯, [11:41.77]まさかこんなモノがいようとは。
居然是这样的一个东西。 [11:45.51]唐突にひとつの童話を思い出す
我突然想起了一部童话。 [11:49.24]最後に涙になって溶けるのは
好像是安徒生的人鱼公主, [11:52.12]アンデルセンの人魚姫だったか。
在童话最后,美人鱼化作了泡沫。 [11:57.03]それは限りなく人間に近い造形をしていた。
这是一种无比接近人类的造型。 [12:02.35]青い光に照らされた生身の少女
沐浴在蓝光下的是,一位活生生的少女。 [12:06.19]亜麻色に輝く髪と
亚麻色的头发散发着光芒、 [12:08.74]滑らかな石質の肌。
还有光滑的石质肌肤。 [12:11.51]白い、一点の汚れもない雪の花を連想させる。
让人联想到纯白色、没有一丝污垢的雪花。 [12:18.17]身じろぎもせず
她的身体一动不动, [12:20.20]穏やかな瞳だけが
温和的眼神 [12:22.38]眩しそうに私を見つめていた。
似乎对我放出了耀眼的光。 [12:26.26]少女は美しく、また、ヒトではなかった。
美丽的少女,非人的少女。 [12:33.05]どのような繊維で造られているのか
这是什么材质的呢? [12:35.81]少女は古い着物を着せられていた。
少女被穿上了陈旧的和服, [12:40.20]そう、着せられている
没错,是被穿上的。 [12:43.99]決して自ら着飾ったものではないだろう。
绝对不是她自己穿的。 [12:49.17]少女は湖底に座り込み
少女坐在湖底, [12:51.48]両手を左右に
双臂 [12:53.02]ゆったりと地面に下ろしていた。
垂放在两侧。 [12:55.77]その先端は存在しない。
但是不存在双手。 [12:58.71]少女の両手は月の大地に融け
少女的双手直接融入了 [13:01.92]直結している。
月球的大地。 [13:04.87]彼女の腕は
她的手臂 [13:06.53]肘のあたりから黒く変色し。
从肘部开始变成黑色, [13:09.48]鉱物の鋭さをもって
有着矿物般的锋利, [13:11.70]大地と一体化しているのだ。
与大地合为一体。 [13:15.23]さながら
宛如 [13:16.97]地面から伸びた柱のようだ。
从地面上伸出的柱子。 [13:19.95]その腕で服を着る事はできない。
这双手没法穿衣服。 [13:23.69]これはのちに知った事だが
这是我后来才知道的事情, [13:25.89]彼女の研究者の一人が
貌似是有位研究者 [13:28.36]むき出しでは可哀想だと
觉得她全裸太可怜了, [13:30.30]ドレスを着せたらしい。
所以给她穿上了裙子。 [13:32.94]コレを人間扱いする方が
但是其他研究者 [13:35.04]倫理に反すると
鄙视这种行为, [13:36.90]仲間からは軽蔑されていたようだが
觉得把她当作人类有违伦理。 [13:40.03]私も同じ意見だ。
我同意。 [13:43.87]ソレは囚われているとも
这不是该被囚禁 [13:46.94]守られているとも取れた。
和保护的东西。 [13:50.12]醜いものと
混合了 [13:51.75]美しいものが混ざり合った姿。
美丽与丑陋的姿态。 [13:57.09]少女は私と同じく
少女似乎与我一样, [13:59.43]突然の来訪者を警戒しているようだった。
在警惕突然到访的人。 [14:03.31]私の第一印象は言うまでもなく
我的第一印象当然是 [14:07.03]「待ってくれ
「等等, [14:08.43]話が違う
不对劲。 [14:10.00]なんだって月面に宇宙人がいる?」
月面上怎么会有外星人?」 [14:13.96]月に来れば
我还以为到了月球 [14:15.43]ひとりきりになれると思ったのに!
就能自己一个人待着了呢! [14:19.87]訂正すると
◆让我订正一下, [14:21.61]少女は宇宙人ではなく
少女不是外星人, [14:24.16]れっきとした地球圏の生命だった。
她是货真价实属于地球圈的生命。 [14:28.37]月面都市に残った資料によると
根据月面都市留下的资料, [14:31.55]彼女は星を効率よく運営する為の
她是有效管理星球运转的 [14:35.12]入力装置だった。
输入装置。 [14:38.13]星を一つの生命として捉え
将整个星球作为一个生命, [14:40.91]その魂を摘出し。
取出它灵魂, [14:43.55]珪素生命として安定させたものだという
再稳定在硅基生命中。 [14:48.03]魂と書かれているが、要するに脳だろう。
说是灵魂,其实就是大脑。 [14:53.60]惑星には肉体と心臓にあたる部位はあるが
行星有对应肉体和心脏的部位, [14:57.73]脳にあたる器官が存在しない。
却没有对应大脑的器官。 [15:01.48]月の技術者たちは
月球的技术员 [15:03.51]脳を人工的に造る事で。
通过人造大脑, [15:06.36]この星を自在に運行する
制造了能够自由操作 [15:08.28]命令体を作り上げたのだ。
这颗星球的命令体。 [15:11.53]そのような大それた生き物に
要靠近这种狂妄的生物 [15:13.69]近づくのは抵抗があったが。
自然会遭到抵抗, [15:16.38]生存に必要な物資は
但生存所需的物资 [15:18.66]彼女の周囲から摘出される。
必须从她的附近获取。 [15:22.38]水素も電源も
无论氢还是电源, [15:24.58]彼女が居る森に
必须来到她所在的森林 [15:25.96]直接取りに行かねばならない。
才能获得。 [15:29.01]自然、どうしても目が合ってしまう。
所以,我们一定会见到对方。 [15:33.39]月に水が湧くのはここだけだ。
月球上,只有这里会涌出水流。 [15:37.38]十二時間ごとに補充しに行き
每隔12小时需要补充一次, [15:39.94]一時間ばかり
每次1小时。 [15:41.38]少女の傍で森を眺める事になる。
这时候我会在少女身边,观察这片森林。 [15:45.91]少女は一歩も動かず
少女一动不动, [15:48.18]また
也没有 [15:49.20]こちらとコミュニケーションを
要和我交流 [15:50.80]図るような事はなかった。
的意思。 [15:54.18]珪素生命
硅基生命 [15:56.50]――石で出来ている彼女は。
用石头制作的她, [15:58.75]我々からすれば
在我们看来 [16:00.49]タイムスケールの違う
有不一样的时间尺度, [16:02.09]永劫不滅の生命だ。
是永恒的生命。 [16:05.02]私のように不完全な命ではない。
而非我这种不完整的生命。 [16:09.90]百十二回目の補充。
第112次补充。 [16:12.95]単純な労働だが苦痛はない。
这是一项重复劳动,但我并不痛苦。 [16:16.31]どうにも
我好像 [16:17.64]私はこの森が気に入っているらしい。
还挺喜欢这片森林。 [16:22.73]地球の森は生命力が強すぎて
地球的森林生命力过于顽强, [16:25.70]私には毒がありすぎた。
对我来说毒性太大了。 [16:28.84]この森は清潔だ
这片森林是干净的。 [16:31.37]何より音がない。
尤其是没有声音。 [16:34.39]この近くに施設があったなら
如果这附近有设施的话, [16:37.01]迷わず移住していただろうに。
我会立刻搬进来。 [16:40.94]タンクを地表に打ち込んで
我将储罐敲入地表, [16:43.12]必要なだけの元素を摘出する。
只抽取需要的元素。 [16:47.32]その間
这时候 [16:48.60]私は少女の傍に座って
我会坐在少女身边, [16:51.14]情報を提供する。
给她提供信息。 [16:54.83]少女が望んだ訳でもないし
这并非少女的期待, [16:57.53]そもそも私たちに意思の疎通はない。
说到底我们之间也无法沟通。 [17:01.67]これは私が自発的に行う等価交換だ。
这是我自发的进行等价交换。 [17:06.92]私が彼女に返せるものは情報だけなので
我能偿还的,只有给她信息、 [17:10.63]物語を聞かせる事にした。
还有给她讲故事。 [17:13.52]完全な自己満足である。
这是完全的自我满足。 [17:17.14]「……しかし、なんだな。
「……可是,唉。 [17:20.62]人のカタチをしているからといって
有着人类的外表, [17:23.42]人間の文化を押しつけるのは
就要强加上人类的文化, [17:25.11]傲慢ではないだろうか」
这是否是一种傲慢呢」 [17:28.73]待ち時間の手持ち無沙汰から
因为等待补充的时间过于无聊, [17:31.01]私は少女のドレスに手をかけた。
我把手伸向少女的裙子。 [17:34.45]姿が同じというだけで
只是外表一样, [17:36.73]人間の都合を押しつけるのは
就会被当作人类, [17:38.92]どうかと思ったのだ。
我觉得这不正常。 [17:42.13]彼女も迷惑だろうと
她肯定讨厌这样, [17:43.88]ドレスを脱がしにかかったところ。
正当我准备脱掉裙子的时候, [17:47.12]気が付くと
回过神来, [17:48.46]腹部に強烈な衝撃が走り抜けた。
腹部已经受到了一股强烈的冲击。 [17:52.52]動かないはずの少女の腕が
历史性的瞬间出现了。 [17:55.22]滑らかに稼働した歴史的瞬間だった。
少女本该无法动弹的手臂,灵活地动了起来。 [18:00.72]三キロメートル近く大気を滑っただろうか
我是不是被击飞了3公里? [18:04.66]マスドライバーもかくやといったところ。
这已经称得上是质量投射器了。 [18:08.73]岩山にひっかからなかったら
要不是撞到山上, [18:10.96]間違いなく虚空に飛び出していた。
我肯定已经飞到太空了。 [18:14.68]人間ではない知的生命体は
非人的智慧生命体 [18:17.26]二種類に分けられる。
分为2种。 [18:19.46]エイリアンとインベイダーだ。
一种是外星人,一种是星外侵略者。 [18:23.67]彼女が宇宙人ではない事は判明していたが
能够确认的是,她不是外星人, [18:26.92]侵略者でもない事を祈るしかない。
至于是否是侵略者,我只能祈祷。 [18:31.71]「昨日は申し訳ない事をしたが
「昨天做了对不起你的事情, [18:34.32]そちらも反省してほしい。
但我也希望你能自我反省。 [18:36.96]ここが地上なら
如果这是地球, [18:38.70]今ごろ君は檻の中だ。
你已经坐牢了。 [18:41.45]君には少し
希望你能认识到, [18:43.14]人間がどれほど脃いかを学んでほしいと思う」
人类有多么脆弱。」 [18:48.06]四十八時間後。
48小时后。 [18:50.77]私は新しい作業用車両を調達して
我开来了新的工作车辆 [18:54.14]少女と対峙した。
与少女对峙。 [18:56.56]正直危険に満ちていたが
说真的,这充满了危险, [18:59.82]十二時間ごとに命のやりとりをするのは遠慮したい。
我不希望每隔12小时都会面临生命危险。 [19:04.40]交渉による平和的な関係を築くべきだ。
应该通过谈判建立和平的关系。 [19:09.38]会話はできずとも
我觉得吧,虽然无法直接对话, [19:10.98]意向を伝える程度はできるだろう
但是传达自己的意思 [19:13.37]と考えての事である。
应该是能做到的吧。 [19:16.17]月の住人たちが
既然月球的居民 [19:17.50]少女を通じて星を運営していた以上
通过少女管理星球, [19:20.86]彼女には外部入力機能があるはずだからだ。
那她应该有接受外部输入的功能。 [19:25.91]手振りで
我用手势告诉她, [19:26.99]先ほどの行為はもうしない、と示すと。
不会再做刚刚的事情了, [19:30.84]彼女は一時間ほどかけて首を縦に動かし
她用一个小时点了下头, [19:35.49]こちらの謝罪を受け入れた。
接受了我的道歉。 [19:39.39]かくして
平安渡过 [19:40.63]インベイダー危機は去った。
侵略危机。 [19:43.39]少女とはこれからも
虽然依旧要 [19:44.88]十二時間ごとに顔を合わせる事になるが
每隔12小时与少女见面, [19:48.27]人間ではないので問題はない。
但是她不是人,所以没问题。 [19:53.16]「ヒトが死を怖がるのは
「人类并非怕死 [19:55.15]死にたくないからじゃない。
所以不想死。 [19:57.57]増えなくてはいけないから
而是害怕 [19:59.83]その前に死ぬことを怖がるんだ」
无法繁殖就死去。」 [20:03.59]月の森で
在月球的森林里, [20:05.24]私は一方的に話を聞かせた。
我单方面地与她对话。 [20:09.40]人間がなぜ死を禁忌するのか
人类为什么会将死视为禁忌。 [20:13.14]生命は自己保存を原則とする。
生命将生存视为准则。 [20:17.41]我々の体の設計図である遺伝子は核酸
基因是我们身体的设计图, [20:21.77]即ちDNAだ。
它是一种核酸,也就是DNA。 [20:25.41]紐状の二重螺旋で知られるこの暗号は
这种密码以纽带状的双重螺旋而闻名, [20:28.94]完全な対構造になっている。
有着完全对称的结构; [20:32.90]開始と終点を描いた紐を
记载着起点与终点的纽带, [20:35.68]上下逆に合わせたものだ。
以一种上下颠倒的样子结合在一起。 [20:38.88]これらは一本で生命の設計を
其中一条负责设计生命, [20:42.28]もう一本がその複製を担っている。
一条负责复制。 [20:46.28]どちらかが失われても
无论失去哪条, [20:48.57]残ったもう一本が存在を受け継ぎ
剩下的一条都会继续继承存在, [20:51.77]生命活動を続けていく在り方だ。
这就是延续生命活动的理想状态。 [20:56.14]我々は根本からして
我们从根本上, [20:58.43]“自分を残す”ことを最優先に設計されている。
就被设计为以“留下自己”为最优先。 [21:04.12]「増えること。
「繁殖、 [21:05.96]子供を作る
生育, [21:07.56]ということは自分の遺伝子の引き継ぎ
通过这些行为继承基因, [21:11.17]永続を意味するからね。
得到永恒。 [21:13.60]本来
按道理来说, [21:14.88]生き物は子供を作った段階で用済みになる。
生物在完成生育后就结束了使命。 [21:19.25]より優れた自分の複製が生まれた以上
既然诞生了更优秀的自我复制体, [21:22.35]古い遺伝子を生かすのは資源の無駄だ」
那么古老的基因继续活着就是在浪费资源」 [21:27.23]自分にあった異性を選ぶ
选择适合自己的异性, [21:30.08]より美しい配偶者を求めるのは
追求更完美的配偶, [21:33.08]心による働きではない。
并非是人心的决定。 [21:36.10]自分の複製に
而是出于本能, [21:37.83]より優れた遺伝子を配合するための本能だ。
希望自己的复制体能与更优秀的基因组合。 [21:43.22]我々は遺伝子の運び屋にすぎない。
我们不过是基因的运输工。 [21:46.60]人間に感情があるのは
人类会诞生感情, [21:48.97]それがもっとも効率がよく
是因为这样的系统更有效率, [21:51.43]また長続きするシステムだからだ。
更能持续。 [21:56.11]かつて五十億もの繁栄を遂げた鳥がいた
鸟类繁荣的时期,数量最高可达50亿。 [22:00.25]高等生物では敵いようのない数。
这是高级生物无法匹敌的数量。 [22:04.40]自然界において
在自然界, [22:06.15]人間サイズの生き物は
人类大小的生物 [22:08.10]そこまでの繁殖はできない。
无法做到这种程度的繁殖。 [22:11.06]しかし、結果はこれを上回った。
可是,结果却远超这个数字。 [22:15.53]五十億の鳥を食料として消費したばかりか
人类将50亿鸟类作为食物消费, [22:19.46]最後には彼等の数すら上回ったのだ。
最后远远超过了它们的数量。 [22:24.57]感情、知性は
感情和理性 [22:26.62]人生を豊かにする為のものではない。
不是为了丰富人生, [22:30.66]種が覇権を握る為の
而是取得物种霸权 [22:32.88]もっとも強い武器に他ならない。
最有效的武器。 [22:37.27]感情のない機械ではこうはいかない
没有感情的机器无法做到这种事。 [22:40.74]機械は効率だけを良しとする。
机器只在乎效率。 [22:43.95]最適な状態に行き着けば
人类如果进入了最佳状态, [22:46.66]そこで進化を止めてしまうだろう。
应该会进化成机器吧。 [22:50.75]「生命は増え続けなければならない。
「生命必须不断繁殖。 [22:53.89]それを済ますまで
在完成繁殖以前, [22:55.52]死が恐ろしくて仕方がない。
会怕死也是没办法的。 [22:58.16]しかし子供さえ育ててしまえば
但是只要开始抚养孩子, [23:01.81]死の幻想から多少は解放される。
基本能从死的幻想中解放。 [23:05.49]自分の役割を終えたからね
因为自己已经完成了使命, [23:08.31]あとは好き勝手に生きればいい。
之后想要怎样活着都行。 [23:11.41]種の存続により尽くすのも
想要继续为物种的存续尽力、 [23:14.47]利益に走るのも、個人の自由だ」
还是追求利益,都是个人的自由」 [23:18.86]もっとも
不过说到底, [23:20.65]地上の人々はその例には当てはまらない。
地球上的人根本不符合前面的例子。 [23:25.56]人類は心が強くなりすぎたのだ。
人类的心过于强大了。 [23:29.27]“あがり”を宣言され
他们宣布“游戏结束”, [23:31.30]ほとんどの未来を手に入れた彼らは
几乎得到了所有未来, [23:34.16]種の存続に縛られなくなった。
解脱了物种的束缚。 [23:38.14]自己保存も自己改革も他人事。
自我延续和自我改造已经与自己无关。 [23:42.71]彼らにとって繁殖は
对它们来说, [23:44.70]本能や義務ではなく
繁殖不再是本能和义务, [23:46.98]すでに趣味の領域に変化している。
而是成为了爱好。 [23:51.40]「それでもまだ
「即使这样, [23:53.33]趣味であるうちは救いはある。
能称得上爱好的话,还算有药可医。 [23:56.49]それさえなくしてしまったら
如果连爱好都不是, [23:59.02]私たちは生命とは呼べなくなる」
那我们也不能被称为生命了」 [24:03.77]少女はあいかわらずピクリとも動かない
少女依旧没有任何反映。 [24:08.80]こちらの話が伝わっているかはどうでもいい。
无所谓,她有没有听见都行。 [24:12.50]補充した物資分のお代は話したので
这只是作为物资的报酬, [24:15.65]早々に森を後にする。
我趁早离开了森林。 [24:19.36]月の森は変わらずに無音で、清潔だ。
月球的森林依旧无声、干净。 [24:24.98]つい足を止めて見入ってしまい
不知不觉我停下了脚步看得入迷, [24:28.09]振り返ると
转身望去, [24:29.62]少女がかすかに手をあげていた。
少女微微抬了抬手。 [24:33.85]目の前にいる羽虫を摑むような動作だった
像是在抓眼前的小飞虫。 [24:37.97]後に、あれは三十分ほどのタイムラグによる動作と判明したが。
之后,过了30分钟,我看清了她的动作, [24:44.32]この時の私には
可是当时的我, [24:46.41]彼女の思惑は測れなかった。
没能理解她的意思。 [24:50.46]「無駄な消費はよくないよ
「浪费资源不好。 [24:53.27]このタンク一杯分だけでいいんだ。
装满这个储罐就行了。 [24:56.41]無制限に使っているけど
虽然能无限地使用, [24:58.45]底をつく可能性だってある。
但也有用完的可能性。 [25:01.38]星が枯渇したら
如果星球枯竭了, [25:03.62]君だって共倒れになるんじゃないか?」
你不也会一起倒下吗?」 [25:07.81]百八十回目の補充。
第180次补充。 [25:11.85]ここのところ元素の生成量が増しているので
因为最近元素的产量增加, [25:15.22]少女にそれとなく注意した。
所以我委婉地提醒了少女。 [25:18.76]驚いたのは
惊讶的是, [25:20.27]そのおり
少女好像 [25:21.48]少女が残念そうに目を伏せた事だ。
很可惜一样,垂下了眼睛。 [25:25.42]こちらの言葉が伝わっている
她能明白我的话。 [25:28.24]なにより、意思を伝える術を学習している。
更重要的是,她在学习如何传达意思。 [25:33.12]彼女は私の話からは何も学ばなかったが
她没有从我的话里学到任何东西, [25:37.91]独自に、私を観察する事で
而是在独自观察我的时候, [25:40.44]彼女なりの成長を遂げているらしい。
自己得到了成长。 [25:44.70]その時は驚きばかりで
当时的我过于震惊, [25:47.10]なぜ、という疑問は浮かばなかった。
根本没有思考是为什么。 [25:51.97]「手の次は足ときた
「先是手,然后是脚。 [25:54.20]自立してもいいことはないと思うけど」
就算能站起来,我也不觉得是什么好事」 [25:58.20]二百四十回目の補充の頃
第240次补充的时候, [26:01.07]少女は立ち上がれるようになった。
少女已经能站起来了。 [26:04.44]地表と一体化していた手足は
原先与地面一体化的手脚, [26:07.28]これで本当に人間と同じものになった。
现在已经变得完全和人类一样。 [26:12.12]まだ立ち上がる事しかできないが
虽然现在只能站起来, [26:15.28]あの様子では歩きだす日も近いだろう。
但是看样子,用不了多久就能走路了。 [26:19.85]私にとっては小さなニュースだ。
这对我来说不过是普通的消息。 [26:22.73]それより
比起这个, [26:24.21]来る時に見かけた
我更在意我来的时候, [26:25.72]樹木の破損の方が気にかかる。
看到有些树木破损了。 [26:29.13]この森はお気に入りなのだ。
因为我很喜欢这片森林。 [26:31.85]ところどころ虫食いでは
如果全被虫子啃了, [26:33.69]精神衛生上よろしくない。
有损我的精神卫生。 [26:37.43]樹木の補修に没頭する。
我沉浸在修补树木的工作里。 [26:40.83]振り返ると
回头望去, [26:42.28]少女は満足げに笑っていた。
少女露出满足的笑容。 [26:45.70]我が事のように喜んでいるようだった。
好像是为我的行为感到开心。 [26:49.85]森の手入れが
修缮树林 [26:51.44]スケジュールに組みこまれた。
成为了日程里的一部分。 [26:55.02]「不用意に近寄らないように。
「不要突然靠近我。 [26:57.78]代えの宇宙服はないんだ
没有替代的宇航服, [26:59.95]壊されたら死ぬしかない。
要是坏了就死定了。 [27:02.58]ああ、また転んだ。
啊,又摔倒了。 [27:05.14]ヒトのように歩きたいのなら
想要像人一样走路, [27:07.53]膝関節を作りなさい」
要用上膝关节」 [27:10.44]彼女は人間と違い
她和人类不一样, [27:12.68]内部に骨格というものがない。
体内没有骨骼。 [27:15.79]骨で器官を覆っている
而是骨骼覆盖了器官。 [27:18.84]我々とは内と外が逆なのだ。
与我们内外相反。 [27:23.00]そう言う私も
说起来, [27:24.87]今では体の外側を宇宙服で覆っているので
我现在的状态也一样, [27:28.84]彼女と同じような在り方だ。
体外覆盖着宇航服。 [27:32.37]助言をしながら
我在给她建议的同时, [27:34.15]私は彼女に接触を禁じた。
也禁止她与我接触。 [27:37.45]安全性の問題だが
虽然是出于安全考量, [27:39.87]あの指に触れられたくはなかったのだ。
但我确实不想被那样的手指接触。 [27:44.09]歩行するようになって
能够行走以后, [27:46.42]ドレスは本来の役割を果たすようになった。
裙子发挥了原本的作用。 [27:50.67]石灰の樹木の合間をすり抜ける姿は
她穿梭在石灰树林间的模样, [27:54.43]まるで
就像在说。 [27:57.83]“これで、ヒトのように見えるでしょうか?”
“现在的我,看起来像人吗?” [28:02.59]無音の筈の森に、雑音が響いた。
本该无声的树林,响起了噪音。 [28:07.97]なんだろう
怎么回事。 [28:09.82]まさか地上からの通信でもあるまい。
难道是地球传来的信号。 [28:13.09]宇宙服の故障だ
或是宇航服故障。 [28:15.23]都市に戻ったらチェックしなければ。
回到都市后需要必须检查一下。 [28:18.99]少女はまだ、しつこく木々と戯れている。
少女还在和树玩耍。 [28:24.21]うまく歩けた感想を求められているのだな
我想,她应该是想要让我 [28:27.16]と私は読み取った。
对她灵活的步伐发表感言。 [28:30.31]「そうだな。
「是啊。 [28:32.49]どちらかというと
要我说的话, [28:34.47]君の体は珊瑚のようだ」
你的身体就像珊瑚一样」 [28:38.16]どうでもいい独り言に
无关紧要的自言自语, [28:40.33]少女は跳ねるようにドレスを翻した。
让少女小跳着转起了裙子。 [28:46.37]地球時間にしておよそ六ヵ月
◆我与她共度了 [28:49.06]私は彼女と過ごした。
大约6个月的地球时间。 [28:52.44]ここのところ
最近, [28:53.66]元素の生成率が低下している。
元素产出率在下降。 [28:57.21]私ひとりが生きていくには十分だが
对于维持我的生活来说还十分充分, [29:00.23]少女の負担になると思い
但我觉得会对少女造成负担, [29:02.68]末端の都市から電源を落とす事にした。
所以关闭了边缘城市的电源。 [29:06.29]ネットワークはとっくに断っている
网络早就切断了。 [29:10.29]都市の効率化ができたら再開すればいい。
如果能实现都市的高效化,重开也不迟。 [29:15.11]食料も熱量も
如果切断食物、热量、 [29:17.32]余分な機能をカットしていけば
多余的功能, [29:19.83]タンク一杯分は必要ない。
就无需填满储罐。 [29:22.82]コップ一杯分で
一杯水的分量, [29:24.68]十二時間活動できる。
就能维持12小时的活动。 [29:28.48]月の森も
◆月球的森林, [29:30.16]その大半が砂に還っている。
过半还原成了沙子。 [29:33.73]この森が少女の生存可能域なのだろう。
这片森林应该是少女能够生存的范围吧。 [29:38.01]森の衰退と共に
随着森林的衰退, [29:40.33]彼女の活力は失われていくようだった。
她也渐渐失去了活力。 [29:44.74]“ごめんなさい。
“对不起。 [29:46.75]最近はうまく星を動かせなくて”
最近没法正常地调动星球” [29:51.14]少女が口を動かす
少女活动着口部。 [29:53.90]真空に伝わる波。
振动传播在真空当中。 [29:57.93]宇宙服の故障ではない
并非宇航服发生故障。 [30:00.67]彼女は声帯まで獲得していた。
她甚至得到了声带。 [30:04.35]私には分からない
我不明白。 [30:06.48]なぜ背伸びをする
我问她 [30:08.36]と問いただすと。
为什么要勉强自己做这种事。 [30:10.31]“貴方を知りたいのです。
“我想了解你, [30:12.71]貴方に触れたいのです”
想要触碰你” [30:16.33]少女はすがるような目をして
少女露出可怜的表情, [30:18.86]声をあげた。
发出了声音。 [30:21.06]録音したが
我能够录下声音, [30:22.70]私には解読できない。
却没法解读。 [30:25.87]少女の声はどの言語にも該当しない。
少女的声音不符合任何一种语言。 [30:30.94]記録した音をテキストに置き換えても
即使把录音转录成文字, [30:33.97]そこには文字の羅列があるだけだ。
也不过是文字排列在一起。 [30:38.17]私にとって
对我来说, [30:39.90]音による言葉は
所有用声音传达的语言, [30:41.64]どれもが異国の唄と同じだった。
都与异国的歌谣无异。 [30:45.77]「君は成長を続けているな。
「你不要再成长了。 [30:49.30]前にも話したけれど
我之前也说过, [30:51.49]自己保存と改革は生命の義務であり証だ。
生命的义务和证据是自我延续和改造。 [30:57.11]しかし、君の進化はいい方向には進んでいない
可是你没有向着好的方向进化。 [31:02.04]なんだってそんな、不便な体を」
因为你有着那样不方便的身体」 [31:06.25]“そんな小難しいコトはどうでもいいのです
“这种小事根本无所谓。 [31:10.11]ただ貴方と話したいだけなのです”
我只是想要和你对话” [31:14.98]少女は胸に手を当ててこちらを睨む。
少女把手放在胸口,然后盯着我。 [31:18.61]まるで、自分の体はここにある
她的视线就像在说, [31:21.40]と言いたげな視線だった。
自己的身体就在这里。 [31:24.97]この時の私の心境は
当时我究竟怀着怎样的心境呢, [31:27.68]今でも解析できない。
就算到了现在依旧无法解析。 [31:31.29]背中から切りつけられたような冷えた痛みと
就像身体从背脊开始被切开一样的痛苦与寒冷, [31:34.91]心臓をじわりと握りしめられたような
就像心脏被逐渐握紧时, [31:38.48]小さな熱。
产生的温热。 [31:41.32]星を見下ろしていた時に感じた
就像俯瞰行星时, [31:44.42]不可思議な心の動きと同じだった。
心里传来那种不可思议的感觉一样。 [31:49.08]少女のそれは
少女出现的是, [31:50.97]心と呼ばれる生体機能だ。
名为心的生物功能。 [31:55.03]彼女には感情が生まれていた。
她诞生了感情。 [31:58.64]もうとっくに気付いていた
我早就注意到了。 [32:01.20]目を背けていただけだ。
我只是一直在无视。 [32:04.27]この生命は環境に合わせて成長するのではなく
这个生命并非与环境一同成长, [32:08.46]自身の願いを軸に成長する道を選んだのだと。
而是以自己的愿望为核心,选择成长的道路。 [32:14.46]「そうか。君は、ヒトのカタチになりたいんだな」
「是吗,你、想要变成人啊」 [32:21.30]彼女は力強く頷いた。
她用力地点头。 [32:25.53]伝え合う事のできない我々にとって
我觉得这是无法相互理解的我们, [32:28.63]たった一度きりの相互理解だったと思う。
唯一一次做到了相互理解。 [32:33.72]彼女が私に危害を加えなかった理由は
原来她不伤害我, [32:37.53]私の姿を参考にしようと思ったからだ。
是因为她想要模仿我。 [32:41.65]彼女が私に笑いかけるのは
原来她对我笑, [32:44.64]私に向けられていた好意は
对我抱有好感, [32:47.56]しかし、愛情によるものではない。
并非是因为爱情。 [32:52.11]単に、この少女が他の人間を知らないだけだ。
只是因为她不认识其他人类。 [32:59.13]時間は過ぎていく
时间流逝。 [33:02.31]彼女の変異はもう止めようがない。
已经无法阻止她变异了。 [33:06.53]少女は炭素生命へと変わろうとしている。
少女想要变成碳基生命。 [33:11.10]その先にあるものは不可逆の
这会在物种上 [33:13.76]種としての脆弱化だ。
导致不可逆转的脆弱化。 [33:17.08]月の資源も失われつつある。
月球的资源也在渐渐消失。 [33:20.69]彼女が星の頭脳体としての機能を失う事で
她丧失作为星球大脑的功能后, [33:24.59]月は死の世界に戻ろうとしている。
月球会回到死的世界。 [33:29.27]ハロー、キャプテン?アームストロング。
哈喽、船长・阿姆斯特朗。 [33:33.49]人類で初めて月に行った彼が降りる前の
月球会回到人类第一次降落月球以前, [33:37.60]人間が住むべきではない、正しい姿に。
无法让人居住的正确姿态。 [33:43.14]少女は死に向かって転がり始めた。
少女开始翻滚向死亡。 [33:47.76]彼女がヒトに近づけば近づくほど
她越接近人类, [33:50.76]星は彼女を見放すのだ。
星球越抛弃她。 [33:55.24]彼女がヒトに焦がれれば焦がれるほど
她越想成为人类, [33:58.83]私は熱を失うのだ。
我越失去热情。 [34:02.87]……ああ、それでも。
……啊、可是啊。 [34:06.94]あの美しい石が生命である事を望むのなら
如果那颗美丽的石头希望成为生命, [34:11.32]それを叶えてやらなければ。
必须成为生命的话。 [34:16.16]ロケットの修理に着手する。
我开始修理飞船。 [34:19.48]今のうちに
趁现在 [34:20.68]できるだけの資源を確保しておく。
尽可能地保存资源。 [34:24.70]七つの月面都市は
七座月面都市 [34:26.69]そのすべてが海の藻屑となるだろう。
全部成了海里的碎藻。 [34:30.33]私は自分にできる事をする。
我会尽我所能。 [34:34.20]もちろん自己保存が最優先だ。
当然,自我延续依旧排在第一位。 [34:37.26]そこを間違っては
如果不这样, [34:39.04]教授したものとして
我就没脸见 [34:40.72]彼女に合わせる顔がない。
我教出来的她。 [34:43.98]少女は日の八割を睡眠に費やしていた
少女一天有8成的时间在睡觉。 [34:48.70]眠る少女を抱きかかえる。
我抱起睡梦中的少女。 [34:51.92]あれほど触れる事を禁じていたが
果然,通过宇航服接触不会有任何触感, [34:54.79]やはり、宇宙服越しでは何の感触もない。
尽管之前不准她碰我。 [35:00.25]だから、この数値だけを覚えていよう。
所以,我要好好记录下这个数值。 [35:05.19]無重力の海では、数値だけが確かな記録だ。
无重力的海洋中,唯有数值是可靠的记录。 [35:11.97]森から都市に連れ出したところで
我从森林里带她出来的时候, [35:14.78]少女は目を覚ました。
少女醒了。 [35:17.32]意思は通じずとも
就算无法沟通, [35:19.26]何をしようとしているかは理解できるのだろう。
应该也能理解我要做什么。 [35:23.09]少女は抵抗したが
少女做出抵抗, [35:25.15]もう以前ほどの力はない。
但是没有以前大力。 [35:29.29]少女はしつこく暴れた後
少女发完脾气后, [35:31.66]睡眠に戻った。
又睡着了。 [35:34.68]一人乗りのロケットに彼女を寝かせる。
我让她睡在了单人乘坐的火箭内。 [35:38.78]なぜか、五分で済むことに
为什么,5分钟就能结束的事情, [35:41.75]何倍もの時間を要した。
却花了数倍的时间。 [35:45.46]安全性は確保したが
我确保了她的安全, [35:47.61]後で恨まれるだろう。
但是之后她会恨我的吧。 [35:50.42]なにしろ空中分解を前提にしたアプローチだ。
毕竟这个方法会在空中解体。 [35:54.65]成層圏にさえ入ればいい
只要能进入平流层即可。 [35:57.85]あとは脱出ポッドで海に落とす。
之后会通过逃生舱落入海中。 [36:01.19]弱っているとはいえ
即使身体衰弱, [36:03.13]彼女はいまだ星の分身だ。
她依旧是星球的分身。 [36:06.46]その体、外殻は即座に環境に適応する。
她的身体或者说外壳,会立刻适应环境。 [36:12.64]多少は苦痛だろうが
多少会感到痛苦吧, [36:14.61]そこは大目に見てほしい。
但是希望你能够原谅我吧。 [36:17.84]さて、発射まであと二分程度。
OK,距离发射还有2分钟。 [36:23.63]月に残った資源の八割を消費する
消耗了8成月球剩余资源的 [36:26.91]一大プロジェクトだ。
庞大计划。 [36:29.17]もともと彼女のものなので
本来就是她的东西, [36:31.80]惜しいという気持ちもない。
所以我完全不觉得可惜。 [36:35.53]センサーが波を拾う。
传感器接收到震感。 [36:38.28]ロケットの中で
火箭里传来 [36:39.90]壁を叩く音がする。
敲击墙壁的声音。 [36:43.24]覗き窓には
舷窗后出现了 [36:44.73]もうくすんでしまった
已经黯淡了的 [36:46.43]亜麻色の髪が見えた。
亚麻色头发。 [36:49.99]やる事もないので
已经没我的事了, [36:52.12]いつも通り
所以我和以往一样, [36:53.71]私は彼女に話しかける。
向她搭话。 [36:57.35]「落ち着いて
「安静一下, [36:59.63]君に、私はもう必要ない。
你已经不需要我了。 [37:03.33]その心は人恋しいだけなのです
你现在的感情叫作留恋。 [37:08.02]ですから、あの星に落ちなさい
所以,你去那颗星球吧。 [37:11.61]あそこには君の望む全てがある」
那里有你想要的一切」 [37:16.83]“違うのです
“不对, [37:19.40]私は人間に恋をしたのではありません
我并非爱上了人类。 [37:23.08]貴方に恋をしたのです”
我是爱上了你” [37:26.70]「気遣いはいらない。
「我不需要你的关心, [37:29.22]これから僕は
接下来, [37:30.95]かつての君と似たようなものになる。
我会像曾经的你一样。 [37:35.06]資源が途絶える以上
资源枯竭以后, [37:36.98]人間としてはやっていけないからね。
我也没法继续做人了。 [37:40.60]もともと
不过从一开始, [37:41.87]そういう風になる予定だったんだ、僕は。
我就是这么打算的。 [37:46.43]だから
所以, [37:48.26]以前までの君と同じく
我会和以前的你一样, [37:51.02]寂しくはなくなるよ」
不再孤单」 [37:54.03]“それも違うのです
“不对, [37:56.67]それではいずれ
这样的话, [37:58.31]貴方の方が人恋しくなる”
你总有一天也会爱上别人” [38:02.40]唄は、私には分からない。
我无法理解歌声。 [38:07.83]それでも不思議と
但是,我却明白,传来的振动 [38:09.29]不快ではない波だった。
并非无法理解或者让人觉得不悦。 [38:13.25]壁を叩く音は強くなる一方だ。
敲击声越来越大。 [38:17.76]まさか突き破ってこないだろうな
难道她会冲出来吗, [38:20.53]と思って、私はつい笑ってしまった。
我不禁露出了笑容。 [38:26.48]私は計画の中止を懸念したのではなく
我并非担心计划会中止, [38:30.75]そんな事をしでかした場合の
而是因为她做出这种事, [38:33.39]彼女の健康を案じたのだ。
担心她的身体安全。 [38:37.30]普段の私からは考えられない行為
以前的我,压根不会有这种想法。 [38:40.64]いや、それこそ間違いだ。
不,这才不对。 [38:44.50]この星にきてからずっと
自从来到这颗星球, [38:46.69]自分はあの少女の為に活動してきた
我就一直在为了少女而活动。 [38:50.71]あの少女を想わない日はなかった。
我没有一天不关心这位少女。 [38:50.91]だから別に
所以现在的心境, [38:56.49]今の心の働きは珍しい事でもない。
并不出奇。 [39:01.59]自分がそうでありたいと願った
这就是我在这颗星球上 [39:04.65]この星で繰り返してきた
反复经历的、曾经渴望的、 [39:07.51]忘れがたい日常だ。
难以忘怀的日常。 [39:11.26]「……ああ。
「……啊, [39:13.10]以前、生命の定義の話をしたね。
以前,我曾和你说过生命的定义对吧。 [39:17.88]増えることを放棄したものは
放弃繁殖的生物 [39:20.30]生命ではないと
不能称为生命。 [39:22.77]その通りだ。
没错。 [39:25.55]君が生命になるというのなら
既然你成为了生命, [39:28.56]子孫を残さなければいけない」
那你一定会留下子孙」 [39:31.98]“待ってください。
“等等, [39:33.92]せめて最後に
那怕只有一次, [39:35.63]一度だけでも
至少在最后, [39:37.52]貴方と話がしたいのです”
我也想要和你对话” [39:40.95]この少女を地球に落とす判断は悪だ
让这位少女降落到地球,是罪恶的判断。 [39:45.68]人類にとどめをさす行為かもしれない。
这也许是会被人类讨伐的行为。 [39:49.60]が、もともと私の人類愛は故障している。
不过,我的爱人功能本就有故障。 [39:55.35]だからこそ、こんな世界にやってきた
所以,我才会来到这个世界。 [39:59.97]だからこそ、こうやって失う時にしか
所以,我才会像这样,在失去某物的时候, [40:04.58]心の所在に気付かなかった。
没能发现自己的真心。 [40:08.30]罰のように思い出す
这些想法就像在惩罚我。 [40:11.51]私はそういう人間だったのだと。
告诉我我就是这样的人类。 [40:17.22]「人間がイヤで
「我讨厌人类, [40:19.59]何もかもを見限って
所以舍弃了一切, [40:22.05]月に昇ってきたのです。
来到月球。 [40:25.89]そんな私が
这样的我, [40:28.04]人を愛する訳にはいきません」
没有资格爱人。」 [40:32.81]多くの人々と同じ
我和大部分人一样, [40:35.53]弱く、身勝手な人でなし。
软弱、任性、不配做人。 [40:40.17]そんな機械に
哪怕是这样机械的我、 [40:42.55]他人を思いやる機能はないとしても
没有爱人功能的我。 [40:49.88]「――でも、君に恋をした」
「——依旧,爱上了你」 [40:56.70]幸福の意義など考えずに
我没有思考过幸福的含意。 [40:59.76]貴方には穏やかであってほしいと
即使是出于自私, [41:02.90]身勝手にも願ったのだ。
我也希望你能够平平安安。 [41:07.35]目を覆う光と熱
光与热遮住了眼睛。 [41:11.06]ロケットは尾を引いて
火箭拖拽着尾巴, [41:13.39]暗い星に落ちていく。
落向暗淡的星球。 [41:17.01]舟は虚空に。
小船飘浮在太空中。 [41:20.45]私はそれを
我透过镜头 [41:22.24]レンズ越しに眺めている。
望着它。 [41:27.86]星が去っていく
星球渐渐死去。 [41:31.28]君が去っていく。
你渐渐地离开。 [41:35.37]私は今
现在的我, [41:37.91]かつてないほど人間的だ。
比以往任何时候更像人类。 [41:42.65]そうか。
原来是这样啊。 [41:45.88]恋を知る為に
我是为了知晓爱意, [41:48.23]私は月に昇ったらしい。
才来到了月亮上。 [41:51.45] [41:54.12](四)
(四) [41:56.34]今年の寿命も数えるほど
今年剩下的寿命已经屈指可数。 [42:00.09]十二回目の満月の夜。
今天是第12个满月之夜。 [42:03.40]あと十日足らずで今年は用済みで
还有不到10天,今年就结束了, [42:06.45]また、あてのない一年をはじめていく。
然后,又会开启一个没有计划的新年。 [42:11.39]わたしは高台から
我在岛屿的高处, [42:13.42]三日月に灯る海岸線を眺めている。
欣赏着新月点亮的海岸线。 [42:17.69]今夜は一段と明るい海
今夜的大海比以往更加明亮。 [42:21.13]吹く風は温かくも冷たくもない。
吹起的风舒适得恰到好处。 [42:25.94]冬という季節は
冬天这种季节 [42:27.82]この島には無縁のモノなのだ。
与这座岛屿无缘。 [42:31.99]「空に水、水に空。
「天空映水。水映天空。 [42:35.20]月の空には砕け散った海がある」
月空之下,碎海无垠。」 [42:40.47]一説によると
据说, [42:42.39]この島に緑が蘇ったのは
这座岛上的绿植之所以复苏, [42:45.46]島の近くに隕石が落下してからだという。
是因为曾经有颗陨石落在了岛屿的附近。 [42:50.59]その後
在那以后, [42:51.97]月の珊瑚と呼ばれる
诞生了全新的海洋世界, [42:53.83]新しい海洋世界ができあがった。
名字叫月之珊瑚。 [42:58.02]ちなみに最初のおばあちゃんは
随便一提,我的始祖奶奶 [43:00.38]亡くなる間際
在快要逝世的时候, [43:02.06]海に入ったまま戻ってこなかった。
进入了海里,再也没回来。 [43:05.95]月のいちばん見える夜
珊瑚会在 [43:08.45]珊瑚が光るようになったのは
月亮能见度最清晰的夜晚发光, [43:10.87]それ以来という話。
也是在那以后的事情。 [43:14.24]「星はまたたく
「群星闪闪放光、 [43:16.11]海はさざめく
大海沙沙作响。 [43:18.21]人恋しくて珊瑚は謳う。
恋慕之情令珊瑚讴歌。 [43:21.35]わたしたちは海月みたいに
我们宛如一只只水母, [43:23.84]ふわりふわりとその日ぐらし」
轻飘飘地将日子重复」 [43:28.24]「おや。今夜はまた、一段と元気そうです」
「哎呀,今晚的你看起来更有活力了」 [43:33.76]ブリキの彼は例の小舟と共に現れた。
铁皮的他与小船一同出现。 [43:38.11]かすかな光を撒いて飛ぶ姿は
飞翔的模样带着微微的光芒, [43:40.86]ちょっとだけ流星のよう。
就像流星一样。 [43:44.42]わたしが元気なのは
我会有活力,应该是受到了 [43:46.44]月の満ち欠けの影響だろう。
月亮阴晴圆缺的影响吧。 [43:49.11]ちゃんとご飯も食べているし
而且我吃还过饭了, [43:51.83]気持ちの問題もあって
今晚的心情 [43:53.66]今夜は特に調子が良い。
真的相当不错。 [43:56.39]反面、彼はやや歯切れが悪い
不过,他语气反倒有些奇怪。 [44:00.67]訊ねてみると
我试着问了问他, [44:02.27]そろそろ食料が切れるのだという。
原来,他的食物快吃完了。 [44:06.42]「はいこれ。わたしの本、受け取って。
「嗯,给你。我的书你拿走吧, [44:10.18]その代わり、あの貝殻はいただくわ」
作为交换,那个贝壳我要了」 [44:13.92]「それは良かった。
「太好了, [44:15.72]最後にいい取引ができました」
在最后完成了一桩好买卖」 [44:19.57]舟の甲板がお鍋のフタみたいに開く
小船的甲板像锅盖一样打开, [44:24.69]彼は自分より大きな本を抱えて
他抱着比自己大的书, [44:27.58]ちまちまと中に入っていく。
一点点搬入里面。 [44:30.76]わたしはその隙に
我稍微偷看了一下 [44:32.49]ちょっとだけ覗き見る。
锅盖的缝隙。 [44:35.26]中は別世界に繫がっていた。
里面连接着其他的世界。 [44:39.17]わたしの部屋より広そうな空洞に
比我房间还大的空间内, [44:41.94]一面の金銀財宝。
堆满了金银财宝。 [44:44.69]その真ん中に
他把书 [44:46.18]彼は本をちょんと置いた。
小心地放在了正中央。 [44:48.78]少しだけ恥ずかしく
有点让人害羞, [44:51.20]少しだけ誇らしい。
又有点自豪。 [44:54.67]「最後?貴方、もう島にはやってこないの?」
「你说最后?你不会再来这座岛了吗?」 [45:00.32]「島というより
「不要说这座岛, [45:02.11]こちらに渡ってくる事自体が難しいのです。
光是来这个地方就很困难了。 [45:05.98]こう見えて、だいぶん無理をしていまして
别看我这样,其实我是在硬撑。 [45:09.55]地球の重力は私には重荷なのです。
地球的重力对我来说是严重的负担。 [45:13.28]この機体も軽量化したものですし」
这台飞行器也是轻量化的产物。」 [45:17.13]わたしは息を吞んだ。
我屏住呼吸。 [45:20.34]死を迎える今年のように
就像迎来死亡的这一年一样, [45:23.18]彼もまた
他也会 [45:24.77]回顧録に仕舞われる事なく去っていく。
不留下任何痕迹地离开。 [45:29.36]別段、嘆くこともない。
没什么好感慨的。 [45:32.83]いまの人類にとって一期一会はスタンダード
对现在的人类来说,有些东西一辈子只见一次非常正常。 [45:37.15]わたしだって情の薄いと評判の一姫さまだ。
就连我自己,也被人称作薄情的公主大人呢。 [45:42.71]そんなコトで躍起になって
为了这种事 [45:44.87]引き留めたりこだわったりするのは
激动地挽留对方, [45:46.76]自分らしく――いや。
根本不像自己…不对。 [45:51.16]そんなところまで
这样的话 [45:52.83]先人の轍を踏んでどうする。
又会重蹈先人的覆辙。 [45:55.69]カタコトでも
哪怕一两句也好, [45:57.20]わたしたちは話し合うコトができるのだ。
我们是能够沟通的。 [46:01.67]「相談事があるの
「我有事想跟你商量。 [46:03.70]意見を聞かせてくれないかしら」
你能说说你的意见吗」 [46:07.03]挑むような気持ちで言うと
以挑战对方的口气提问, [46:09.57]彼は真面目に向き合ってくれた。
他也会认真地回应我。 [46:12.97]といっても
不过, [46:14.31]相談事なんて一つもない。
其实我没有要商量的事。 [46:17.21]あれこれ考えたあげく
反复思考过后, [46:19.43]求婚について相談した。
我决定商量求婚的问题。 [46:22.21]島のしきたり
根据岛上的习俗, [46:24.29]本土からやってくる殿方
我要与远道而来的男士 [46:25.97]との御簾越しの逢瀬。
隔着竹帘幽会。 [46:28.58]常識はずれの交換条件を突きつけるコトを
你对这种违背常识的不对等条件 [46:31.97]どう思うか。
有什么想法。 [46:34.51]彼は小さな両手を組んで
他的小手交叉在一起, [46:37.04]なるほど、と納得声。
发出理解了的声音。 [46:40.79]「貴方は誠実なのです
「你很诚实。 [46:43.10]そういうヒトを知っています。
我确实知道这件事。 [46:45.41]確かな証がないと
虽然没有证据, [46:47.21]ヒトを思いやるコト
但我觉得 [46:48.40]も欺瞞だと感じてしまう。
体贴也是种欺骗。 [46:50.91]それは貴方が
但是,这是你 [46:52.97]自分より相手の人生を
充分为了对方的人生 [46:54.47]よく考えている結果でしょう。
考虑的结果。 [46:57.49]貴方の愛は
你的爱, [46:59.22]とても人間的なのですね」
十分像人类。」 [47:02.66]月が眩しい。
月光变得耀眼。 [47:05.44]わたしは何分もかけて
我伸出手, [47:07.83]目の前にいる鳥を捕まえるような
像是要抓住 [47:10.70]羽虫を摑むような動作で
眼前的飞鸟或者小虫, [47:13.17]手を持ち上げかけて、押し止めた。
最后却又停了下来。 [47:18.64]「そろそろ時間です
「是时候了。 [47:20.52]この周期を逃すと帰れなくなる。
错过现在就回不去了。 [47:23.91]読み書きは文化の基本なので
识字是文化的根本, [47:26.21]できるだけ長く覚えておいてください」
请你务必牢记。」 [47:30.01]「そうね。次はもっとうまくなっているわ」
「是啊,下一次我会写得更好」 [47:34.55]「次?」
「下次?」 [47:36.09]「ええ。もう一冊書く予定ができてしまったから
「嗯,我打算再写一本书, [47:40.89]さっきの本に新解釈をまぜたものだけど」
为刚刚那本书加入新的解释」 [47:44.97]本当のことだ
没错, [47:47.40]あの貝殻の声を聞いた以上
既然听见了贝壳里的声音, [47:50.35]新しい物語を残さないと。
我就必须留下新的故事。 [47:54.06]「魅力的な案件だ
「提议很有魅力, [47:56.08]商売上手ですね。
你很会做生意嘛。 [47:58.72]ちなみに
顺便问问, [48:00.11]代金はどれほどでしょう」
定价是多少」 [48:02.83]「月のサカナを用意できる?」
「你能准备好月球上的鱼吗?」 [48:06.16]誰もが逃げだす無理難題。
让别人逃之夭夭的难题。 [48:09.48]その困難さを空想ではなく
他却明白,这道难题 [48:12.60]現実として知っている彼は。
并非空想,而是现实, [48:15.75]「サカナというのは
「游鱼, [48:17.42]昔の海にいた生命ですね。
是曾经生活在大海的生命对吧。 [48:20.55]ふむ、月に海を作るのはたいへんそうだ。
哼哼,要在月球上创造海洋可不容易。 [48:24.94]私には荷が重いですが
对我来说是个重担,但是呢, [48:27.38]それで貴方と取引ができるのなら
如果能用来与你交易, [48:30.14]損ではないと判断しました」
我认为并不吃亏。」 [48:33.53]甲板から、にょっきりと舵が伸びる
甲板上,升起了高高的船舵。 [48:37.47]彼は舵をにぎって、西の空に船首を返す。
他握紧船舵,让船头对准西边。 [48:43.47]「そうだ。珊瑚の真相は分かりましたか?」
「话说。你知道珊瑚的真相了吗?」 [48:47.79]「ちっとも。
「完全不知道。 [48:49.43]でも、おばあちゃんの願いは叶ったみたい」
但是,奶奶的愿望似乎实现了」 [48:54.46]その話については、新しい本の中で。
关于这个故事,我会写在新书里。 [49:00.06]「良かった。それを楽しみに、難題を解くとしましょう」
「很好,我会怀着期待,解开难题」 [49:06.32]それでは、と残して、小舟は虚空へと飛んでいった。
留下这句道别,小船就飞往了太空。 [49:13.00]明日の夜には十六夜の月を横切って
我想,他一定会在明天的夜晚,穿过阴历十六夜的月亮, [49:17.30]遠い空に落ちていくのだろう。
落在遥远的天边。 [49:20.95]ふと、美しい声を聞いた
突然,我听见了美丽的声音。 [49:25.85]貝殻にあった唄が記憶と共に蘇る。
贝壳里的歌谣与记忆一同复苏。 [49:31.01]あれから何百年
自那以后已经过了几百年。 [49:33.83]彼と彼女は永遠の没交渉。
他与她再也没有来往。 [49:38.69]月に咲いた花は地上に落ちて
盛开在月球上的鲜花飘落到了地球, [49:41.51]平凡なモノになったけれど
即使平平无奇, [49:43.91]多くの種を残した。
依旧留下了许多种子。 [49:47.03]彼の教えを叶えるように。
他的教诲似乎实现了。 [49:50.43]愛は趣味だと彼は言ったけれど
他曾说,爱情是一种爱好, [49:53.57]本能より優れた趣味もあるらしい。
但是,这似乎是比本能更优越的爱好。 [49:57.36]だからこそ人々は
正因为如此, [49:59.46]今まもしつこく生きている。
人们才会顽强地活着。 [50:03.76]「ああ――」
「啊——」 [50:06.14]珊瑚が光る理由なんて
珊瑚发光的原因 [50:08.59]それだけのコトに違いない。
不过如此。 [50:12.30]最後まで分かり合えることは
到了最后, [50:14.89]意思を伝え合うことはなかった。
还是没能相互理解。 [50:18.30]一方通行の恋路
没有回应的恋爱。 [50:21.17]ひとりよがりの決断。
自以为是的决定。 [50:24.06]でも、互いの幸福だけを祈っていた。
可是,都希望对方幸福。 [50:29.96]それで残るものがあるコトを
即使曾经的他们并不相信, [50:32.58]彼と彼女は信じていなかっただろうけど。
但也因此留下了某些东西。 [50:38.08]「なんて、幸せな人たちだろう」
「多么幸福的人啊」 [50:43.70]彼女の声を口ずさむ
她轻轻地哼了起来。 [50:46.51]懐かしい歌を思い出す
是一首怀念的歌。 [50:50.16]触れあえずとも命は遠いそらの彼方に。
即使无法触及对方,但我知道,生命就在遥远的天边。 [50:57.95]光る海、謳う珊瑚。
大海闪烁、珊瑚讴歌。 [51:02.79]――今も、貴方に恋をしている。
——现在,依然爱慕着你。
(三) [00:03.96]ディスレクシア、学習障害の一種。
失读症,属于学习障碍。 [00:09.94]知能水準は平均に達していながら
拥有正常的智力, [00:12.86]文字を正しく理解しない症状。
却无法正确理解文字。 [00:16.42]ディスレクシアにとって
在患有失读症的人眼里, [00:18.34]文字は水面にこぼれた油のように映るという。
文字就像飘浮在水面的油脂。 [00:22.97]私の耳はそれに近い
我的耳朵也差不多。 [00:27.06]生まれつき音の美しさが分からない。
天生无法分辨声音的美感。 [00:31.83]音に頼る情報を
无法理解 [00:33.71]情報として理解できない。
使用声音传递的信息。 [00:36.93]私にとって世界は
对我来说, [00:38.91]テキストとテクスチャーで構成されるものだ。
世界由文字和纹理构成。 [00:42.94]誕生から永眠する時まで
自诞生到永眠, [00:45.72]会話とは無縁だった。
都与对话无缘。 [00:50.24]そんな人間が
这样的人 [00:51.54]こんなカタチで記録を残すのは不本意だが
只能使用这种方式留下记录 [00:54.77]仕方がない。
也是没办法的。 [00:57.24]彼女は多くの事柄を貪欲に学んだが
她贪婪地学习了许多事物, [01:00.56]読み書きだけは、最後まで修得しなかった。
但是到最后,也没能学会读书写字。 [01:06.74]私が生まれた時、既に西暦は失われていた。
◆我出生的时候,西历已经消失了。 [01:12.37]人類は末期を通り越し
人类已到晚期, [01:14.75]後は永眠するだけのターンに差し掛かっていた。
最后能做出的选择只剩下永眠。 [01:19.90]復興された第十二衛星都市が私の故郷だ。
我的故乡,是得到复兴的第12卫星都市。 [01:24.88]人口一万人をかろうじて維持する
人口勉强维持在1万人, [01:27.76]優れた文明圏と言えるだろう。
应该能够称得上是优秀的文明圈吧。 [01:31.43]その年、第十二衛星都市での死亡数は1
那一年,第12卫星都市的死亡人数是1。 [01:37.06]誕生数は0だった。
出生人数是0。 [01:40.65]かつてこの惑星では
这颗行星 [01:42.67]一秒のうちに一人の命が失われ
曾有过在1秒内,1个生命消逝, [01:46.01]三人の命が誕生していたと記録に残っている。
3个生命诞生的记录。 [01:50.76]マイナスよりプラスの方がやや上回る
增加的要比减少的要稍微多一些。 [01:54.38]それが人間の、種としての優位性だった。
这就是作为人类的优越性。 [01:59.06]その優位性は、もはや見る影もない
这种优越性,早已不见踪影。 [02:04.48]反面、地上の環境問題は軒並み解決していた。
另一方面,地球的环境问题一个接一个得到解决。 [02:09.68]人類が解決したのではなく
这并非是由人类解决的, [02:12.56]この惑星が長い忍耐のすえ持ち直した結果だ。
而是这颗行星在长期忍耐以后,恢复原样的结果。 [02:18.59]太陽と水と空気は貴重なものになったが
太阳、水和空气变得珍贵, [02:22.16]依然として地に満ちている。
却依然遍布大地。 [02:25.44]かつてのような繁栄は望むべくもないが
虽然再也不可能恢复过去的繁荣, [02:28.70]繁殖するだけなら何の問題もない。
但只是繁殖的话没有任何问题。 [02:32.11]にもかかわらず人口グラフが右肩下がりなのは
尽管如此,人口统计图还是在不断地下跌, [02:36.84]ひとえに、人間という種から意欲が失われたからだ
这完全是因为人类这个物种失去了欲望。 [02:43.02]やる気と言ってもいい。
也可以说是失去了动机。 [02:45.85]進化の道を突き進むには燃料が必要で
想要在进化的道路上前进需要燃料, [02:50.04]人間はその燃料を使い切った。
然而人类已经耗尽了这种燃料 [02:53.65]生命の例に漏れず
和所有生命一样, [02:55.89]我々とて自己保存を基本としていたが。
我们也以物种的延续作为基础, [03:00.09]その基本装置を動かす為に必要なものがあるとは
但是没有人意识到,想要维持这一基本机制, [03:04.03]誰も気付かなかったのだ。
不能缺少某样东西。 [03:07.49]そういった熱量はひとりひとりのものではなく
这种能量并非属于个体, [03:11.66]種全体で消費するものだった。
而是由整个种族共同消耗。 [03:15.55]はじめから総量が決まっていたのだ
从一开始就决定了总量。 [03:19.58]当然だろう。
当然。 [03:21.48]形而上のものであれ
这是一种形而上的东西, [03:23.67]この宇宙に無限の資源など存在しない。
这个宇宙不存在无限的资源。 [03:28.17]我々の宇宙は閉じており
我们的宇宙是封闭的, [03:30.86]最後には無に帰る事で
最后会回归虚无, [03:33.25]帳尻を合わせるのだから。
所以需要让一切合理。 [03:36.42]それでも種を存続させよ
即使这样, [03:38.36]うと努力する人々がいた。
也有人努力想要延续种族。 [03:41.13]私はその一員として
我作为其中一员, [03:43.57]都市の住民権を与えられた。
得到了都市的居民权。 [03:47.89]復興は大きく
复兴大致分为 [03:49.94]蘇生と維持のセクションに分けられる。
复苏和保护2个部门。 [03:53.40]蘇生セクションは感受性や文明の復活を。
复苏部门负责复活感性和文明。 [03:58.07]維持セクションは文字通り
保护部门正如其名, [04:00.20]失われていくものを押しとどめる。
负责阻止正在消失的事物。 [04:03.05]それは技術の話でもあり
这是一项 [04:06.45]命の話でもある。
关乎生命和技术的工作。 [04:09.23]自殺を未然に防ぐのが
预防自杀 [04:11.87]維持セクションの主務だった。
是保护部门的主要任务。 [04:16.27]私は維持セクションに回された
我被分配到了保护部门。 [04:19.79]人類を維持する為に娯楽は必要だ。
想要维持人类生存,少不了娱乐, [04:23.58]ぶらさげられた人参としてではなく
并非要把饲料绑在人类的眼前; [04:26.47]文明の水準向上に
想要提高文明水准, [04:28.55]これほど有効な手段もない。
没有比娱乐更有效的手段。 [04:31.86]通信、ネットワークは
通信和网络 [04:34.49]人々が生きる上でもっとも重要で
在人们的生命中最为重要, [04:37.36]かつ基本的な“娯楽”だった。
在过去,属于是基本的“娱乐”。 [04:40.50]私はその管理と
我则是负责管理与 [04:42.52]発展を任された最後の一人だ。
发展这项工作的最后一个人。 [04:46.86]私の生まれた年代は
我出生的那个年代, [04:49.50]遺伝子操作による優秀種
是一个尝试通过编辑基因, [04:52.63]デザインベビーが試された年代でもある。
获得优秀物种和基因编辑婴儿的年代。 [04:56.53]成功例はゼロ。
但是成功率是0。 [04:59.06]彼らは生まれた直後
他们出生以后立刻就停止呼吸, [05:01.02]自ら呼吸を止めて永眠した。
进入了永眠。 [05:05.13]もういい
已经够了。 [05:06.56]そこまでして続けたくない
不需要做到这种地步, [05:08.89]という人類の総意だと
这就是全体人类的意见, [05:11.42]ある科学者は嘆いたという。
某位科学家感叹道。 [05:15.40]試みは次の段階に入った
实验进入了下个阶段。 [05:18.28]意識の働きで心臓が止まるのなら
如果是靠意识停止了心脏, [05:21.32]本人の意思では止まらない心臓を作ればいい。
那么制作一个不会被意识停止的心脏即可。 [05:25.61]本当の意味で機械的な人間をデザインすれば
只要在真正的意义上设计出机械式的人类, [05:29.78]彼らは生きることを余儀なくされる。
那他们就不得不活着。 [05:34.04]その試みは何件か成功した
该实验成功过几次。 [05:37.70]多少の不具合……五感
他们多少有些缺陷… [05:41.29]人としての感性に
比如在人的感情 [05:43.11]何らかの障害を引き起こしたが
和五感方面出现障碍, [05:45.90]生物学的には間違いなく人間だった。
但在生物学上,他们毫无疑问是人类, [05:49.69]そうであると私は聞かされている。
这就是我所了解的。 [05:53.97]ともあれ
不管如何, [05:55.23]飽くなき探求心
这就是无尽的求知欲 [05:57.18]不屈の精神の賜だ。
以及不屈的精神带来的恩赐。 [06:00.29]人類がこの惑星で
这颗行星上, [06:02.11]もっとも栄えた理由の一つを。
人类最为繁荣的 [06:04.51]蘇生セクションのスタッフは
其中一个原因是 [06:06.36]まだ維持していた。
因为有复苏部门的维持。 [06:09.72]私は彼らのようにはなれなかった。
我无法和他们一样。 [06:14.94]音を、会話を知らない私にとって
无法理解声音与对话的我, [06:18.45]世界はもっとシンプルであってほしかった。
希望这个世界变得更加简单。 [06:22.13]情報の海を広げる作業中
在扩充信息海洋的工作中, [06:25.22]宇宙開拓の名残を見付けた。
我找到了开拓宇宙的痕迹。 [06:28.98]帰ることを考えなければ
如果不考虑回地球, [06:31.29]月への航路は幾つか残されていた。
还剩下几条能够前往月球的航线。 [06:35.76]私が月を目指したのは
就因为这种理由, [06:38.62]それだけの理由である。
我把月球定为目标。 [06:42.43]ロケットを修復し
修复、 [06:44.45]造りかえ
重建火箭, [06:45.97]自分の体も少しずつ
调整身体 [06:48.28]宇宙飛行に堪えられるよう調整した。
适应太空飞行。 [06:52.17]復興を掲げながらも
在高举复兴大旗的同时, [06:54.47]病的なまでに他人に無関心な都市の人々は
异常对他人漠不关心的都市人 [06:58.63]私の作業に注意を払わなかった。
完全没有注意到我的工作。 [07:02.75]役割さえこなしていれば
只要完成自己的职责, [07:05.22]誰も私生活には干渉しないのだ。
就没有人干涉我的私生活。 [07:08.80]私は二度とは脱げない宇宙服に着替え
我穿上再也不会脱下的宇航服, [07:13.08]ロケットに乗る時でさえ
就连登入火箭的时候, [07:15.17]戸惑いは浮かばなかった。
也没有一丝犹豫。 [07:18.38]故郷に戻れない事への恐怖はない
我没有对无法回到故乡感到恐惧。 [07:22.12]宙に昇ってからの不安もない。
也没有对升空感到担忧。 [07:25.87]月面都市に生命反応はないが
月面都市没有生命反映, [07:28.54]施設はいまだ稼働している。
但设施仍在运转。 [07:31.40]最低限の生活水準は保証されており
最低限度的生活能够得到保障, [07:34.83]また、見積もりが甘ければ甘いで
虽然我的准备太过儿戏了, [07:38.07]愚か者が一人死ぬだけである。
但是最多不过是死掉一个蠢货。 [07:41.96]ロケットは地球の表面を二回ほど回ってから
火箭会在地球表面环绕2周, [07:45.89]ゆるやかに月の重力圏に入った。
然后缓缓进入月球的重力圈。 [07:49.90]その過程で
在这个过程里, [07:51.48]かつて暮らしていた世界を見下ろす事になった。
我俯瞰着曾经生活的世界。 [07:56.42]胸に飛来したものは強烈な罪の所在だ
强烈的罪恶感涌现在胸口。 [08:02.58]私は人間を憎んでいる訳ではない
我并非憎恨人类。 [08:05.80]ただ、彼らと関わりを持ちたくなかっただけだ。
只是不想和他们有关联。 [08:13.00]人々の希望になるよう願われて生を受けたが
我在人们的期待下诞生, [08:16.99]私は、自分の事だけで精一杯だった。
但我顾及自己就已经筋疲力尽。 [08:22.02]私にはネットワークと
我只需要网络 [08:24.21]自分と、狭い部屋が一つあるだけでいい。
和一间小小的房间即可。 [08:29.58]音のない世界で
在没有声音的世界里, [08:31.66]情報を目で追っていれば幸福だった。
只要能用眼睛追踪信息就足以让我幸福。 [08:35.29]月でなら誰に邪魔をされることなく
在月球上,没有人会来妨碍我, [08:38.58]ひとりで引きこもっていられるだろう。
可以一个人关在房间里。 [08:41.95]私は何を、誰を殺した訳でもない。
我并非杀是死了什么、杀死了谁。 [08:47.54]ただ自分と、人間を見捨てただけ。
只是抛弃了自己和人类。 [08:52.21]何もかもが面倒になって
一切事物都变得琐碎, [08:54.69]相互補助の繫がりを
互补的联系 [08:56.99]物理的に断ったのだ。
从物理上被切断。 [09:01.95]月面への到達には
◆想要抵达月面, [09:04.38]多少の手間が必要だった。
有几道必须的手续。 [09:07.76]地球からの観測で判明していた事だが
从地球上可以观测到, [09:10.97]月の大部分は氷の膜で覆われていた。
月球几乎被一层冰覆盖。 [09:15.83]月面に造られた七つの都市を守るようにできた
这张蓝色顶篷似乎是在守护 [09:19.43]青い天蓋だ。
月面的7座都市 [09:21.98]地上から飛び立つ時
火箭从地球起飞时, [09:24.13]もっとも手間を取らされたのが
最麻烦的是 [09:26.24]この侵入経路の算出である。
计算侵入月球的路径。 [09:29.76]氷の傘の隙間にすべりこむ突入経路の計算に
光是计算闯入冰伞之间的路线, [09:33.89]一月を費やした。
就花了一个月。 [09:37.02]個人的な所感だが
这是我的感想, [09:39.20]計算にとり組めばとり組むほど
越是计算, [09:42.33]この氷の用途は測れなかった。
越难以推测冰面的用途。 [09:45.68]いかなる意図で造られたものか
如果负责人还在, [09:48.20]責任者がいるのなら問いつめたいと
无论建造的目的是什么, [09:51.02]不満をこぼしたほどだ。
我都想要向他发泄不满。 [09:53.74]もっとも
当然, [09:55.36]その不満を聞き届ける者は
已经没人 [09:57.75]もういない。
能听我抱怨了。 [10:00.07]月の表面に降り立ち
降落月球表面, [10:02.14]都市部に入る。
进入都市。 [10:04.06]生命反応はない
没有生命反映。 [10:06.32]七つの都市は
七座都市 [10:07.74]そのすべてが墓標だった。
全都成为了坟墓。 [10:11.15]電気の明かりだけが
只有电灯的光 [10:12.88]灰色のモニュメントにまたたいている。
照射在灰色的纪念碑上。 [10:16.71]上空を見上げると
抬头看向上空, [10:18.60]厚い氷壁の中で太陽光がゆらめいている。
太阳光摇曳在厚实的冰层里。 [10:23.90]ヒトのいない建物は岩礁のように
无人的建筑就像岩礁, [10:26.96]仄暗いブルーに沈みこんでいる。
浸泡昏暗的蓝色下。 [10:30.84]これでは月面というより海底だ。
这是名为月面的海底。 [10:35.83]ふと、宇宙服に包まれた手を見下ろした。
我突然低头看了看宇航服包裹的手。 [10:41.22]月面での生活用にふくれあがったソレは
膨胀在体表的是, [10:44.48]ブリキの潜水服そのものだ。
在月面生活中需要用的铁皮潜水服。 [10:47.92]私は昇ってきたつもりで
我自以为成功地飞到了这里, [10:50.61]月の底に落ちてきたらしい。
实际却是跌入了月球的海底。 [10:54.62]ともあれ、まずは資源の確保が重要だ。
总之,重要的是先确保资源。 [10:59.98]月の第五都市マトリを拠点にして
我将月球第五都市马特里作为据点, [11:03.22]月の裏側に向かった。
前往月球背面。 [11:06.37]七つの都市に水素を
因为给七座都市 [11:07.87]提供する炉心がある為である。
提供氢的堆芯就在那里。 [11:11.23]しかし
可是。 [11:12.99]私はそこで
在这里, [11:15.04]一度だけ自分の正気を疑った。
我第一次怀疑了自己的精神状态。 [11:20.03]地上からでは決して
地球上绝对观测不到的 [11:21.28]観測できない月の裏側は
月球背面, [11:24.00]灰色の森だった。
居然是一片灰色的森林。 [11:27.38]石灰で出来た樹木
石灰筑成的树木。 [11:29.87]ソラを覆う分厚い氷。
覆盖天空的冰层。 [11:32.44]その中心
在中心位置 [11:34.55]主要元素である
提供氢、碳、 [11:36.10]水素、炭素、酸素、窒素を提供する炉心に
氧、氮等重要元素的堆芯, [11:41.77]まさかこんなモノがいようとは。
居然是这样的一个东西。 [11:45.51]唐突にひとつの童話を思い出す
我突然想起了一部童话。 [11:49.24]最後に涙になって溶けるのは
好像是安徒生的人鱼公主, [11:52.12]アンデルセンの人魚姫だったか。
在童话最后,美人鱼化作了泡沫。 [11:57.03]それは限りなく人間に近い造形をしていた。
这是一种无比接近人类的造型。 [12:02.35]青い光に照らされた生身の少女
沐浴在蓝光下的是,一位活生生的少女。 [12:06.19]亜麻色に輝く髪と
亚麻色的头发散发着光芒、 [12:08.74]滑らかな石質の肌。
还有光滑的石质肌肤。 [12:11.51]白い、一点の汚れもない雪の花を連想させる。
让人联想到纯白色、没有一丝污垢的雪花。 [12:18.17]身じろぎもせず
她的身体一动不动, [12:20.20]穏やかな瞳だけが
温和的眼神 [12:22.38]眩しそうに私を見つめていた。
似乎对我放出了耀眼的光。 [12:26.26]少女は美しく、また、ヒトではなかった。
美丽的少女,非人的少女。 [12:33.05]どのような繊維で造られているのか
这是什么材质的呢? [12:35.81]少女は古い着物を着せられていた。
少女被穿上了陈旧的和服, [12:40.20]そう、着せられている
没错,是被穿上的。 [12:43.99]決して自ら着飾ったものではないだろう。
绝对不是她自己穿的。 [12:49.17]少女は湖底に座り込み
少女坐在湖底, [12:51.48]両手を左右に
双臂 [12:53.02]ゆったりと地面に下ろしていた。
垂放在两侧。 [12:55.77]その先端は存在しない。
但是不存在双手。 [12:58.71]少女の両手は月の大地に融け
少女的双手直接融入了 [13:01.92]直結している。
月球的大地。 [13:04.87]彼女の腕は
她的手臂 [13:06.53]肘のあたりから黒く変色し。
从肘部开始变成黑色, [13:09.48]鉱物の鋭さをもって
有着矿物般的锋利, [13:11.70]大地と一体化しているのだ。
与大地合为一体。 [13:15.23]さながら
宛如 [13:16.97]地面から伸びた柱のようだ。
从地面上伸出的柱子。 [13:19.95]その腕で服を着る事はできない。
这双手没法穿衣服。 [13:23.69]これはのちに知った事だが
这是我后来才知道的事情, [13:25.89]彼女の研究者の一人が
貌似是有位研究者 [13:28.36]むき出しでは可哀想だと
觉得她全裸太可怜了, [13:30.30]ドレスを着せたらしい。
所以给她穿上了裙子。 [13:32.94]コレを人間扱いする方が
但是其他研究者 [13:35.04]倫理に反すると
鄙视这种行为, [13:36.90]仲間からは軽蔑されていたようだが
觉得把她当作人类有违伦理。 [13:40.03]私も同じ意見だ。
我同意。 [13:43.87]ソレは囚われているとも
这不是该被囚禁 [13:46.94]守られているとも取れた。
和保护的东西。 [13:50.12]醜いものと
混合了 [13:51.75]美しいものが混ざり合った姿。
美丽与丑陋的姿态。 [13:57.09]少女は私と同じく
少女似乎与我一样, [13:59.43]突然の来訪者を警戒しているようだった。
在警惕突然到访的人。 [14:03.31]私の第一印象は言うまでもなく
我的第一印象当然是 [14:07.03]「待ってくれ
「等等, [14:08.43]話が違う
不对劲。 [14:10.00]なんだって月面に宇宙人がいる?」
月面上怎么会有外星人?」 [14:13.96]月に来れば
我还以为到了月球 [14:15.43]ひとりきりになれると思ったのに!
就能自己一个人待着了呢! [14:19.87]訂正すると
◆让我订正一下, [14:21.61]少女は宇宙人ではなく
少女不是外星人, [14:24.16]れっきとした地球圏の生命だった。
她是货真价实属于地球圈的生命。 [14:28.37]月面都市に残った資料によると
根据月面都市留下的资料, [14:31.55]彼女は星を効率よく運営する為の
她是有效管理星球运转的 [14:35.12]入力装置だった。
输入装置。 [14:38.13]星を一つの生命として捉え
将整个星球作为一个生命, [14:40.91]その魂を摘出し。
取出它灵魂, [14:43.55]珪素生命として安定させたものだという
再稳定在硅基生命中。 [14:48.03]魂と書かれているが、要するに脳だろう。
说是灵魂,其实就是大脑。 [14:53.60]惑星には肉体と心臓にあたる部位はあるが
行星有对应肉体和心脏的部位, [14:57.73]脳にあたる器官が存在しない。
却没有对应大脑的器官。 [15:01.48]月の技術者たちは
月球的技术员 [15:03.51]脳を人工的に造る事で。
通过人造大脑, [15:06.36]この星を自在に運行する
制造了能够自由操作 [15:08.28]命令体を作り上げたのだ。
这颗星球的命令体。 [15:11.53]そのような大それた生き物に
要靠近这种狂妄的生物 [15:13.69]近づくのは抵抗があったが。
自然会遭到抵抗, [15:16.38]生存に必要な物資は
但生存所需的物资 [15:18.66]彼女の周囲から摘出される。
必须从她的附近获取。 [15:22.38]水素も電源も
无论氢还是电源, [15:24.58]彼女が居る森に
必须来到她所在的森林 [15:25.96]直接取りに行かねばならない。
才能获得。 [15:29.01]自然、どうしても目が合ってしまう。
所以,我们一定会见到对方。 [15:33.39]月に水が湧くのはここだけだ。
月球上,只有这里会涌出水流。 [15:37.38]十二時間ごとに補充しに行き
每隔12小时需要补充一次, [15:39.94]一時間ばかり
每次1小时。 [15:41.38]少女の傍で森を眺める事になる。
这时候我会在少女身边,观察这片森林。 [15:45.91]少女は一歩も動かず
少女一动不动, [15:48.18]また
也没有 [15:49.20]こちらとコミュニケーションを
要和我交流 [15:50.80]図るような事はなかった。
的意思。 [15:54.18]珪素生命
硅基生命 [15:56.50]――石で出来ている彼女は。
用石头制作的她, [15:58.75]我々からすれば
在我们看来 [16:00.49]タイムスケールの違う
有不一样的时间尺度, [16:02.09]永劫不滅の生命だ。
是永恒的生命。 [16:05.02]私のように不完全な命ではない。
而非我这种不完整的生命。 [16:09.90]百十二回目の補充。
第112次补充。 [16:12.95]単純な労働だが苦痛はない。
这是一项重复劳动,但我并不痛苦。 [16:16.31]どうにも
我好像 [16:17.64]私はこの森が気に入っているらしい。
还挺喜欢这片森林。 [16:22.73]地球の森は生命力が強すぎて
地球的森林生命力过于顽强, [16:25.70]私には毒がありすぎた。
对我来说毒性太大了。 [16:28.84]この森は清潔だ
这片森林是干净的。 [16:31.37]何より音がない。
尤其是没有声音。 [16:34.39]この近くに施設があったなら
如果这附近有设施的话, [16:37.01]迷わず移住していただろうに。
我会立刻搬进来。 [16:40.94]タンクを地表に打ち込んで
我将储罐敲入地表, [16:43.12]必要なだけの元素を摘出する。
只抽取需要的元素。 [16:47.32]その間
这时候 [16:48.60]私は少女の傍に座って
我会坐在少女身边, [16:51.14]情報を提供する。
给她提供信息。 [16:54.83]少女が望んだ訳でもないし
这并非少女的期待, [16:57.53]そもそも私たちに意思の疎通はない。
说到底我们之间也无法沟通。 [17:01.67]これは私が自発的に行う等価交換だ。
这是我自发的进行等价交换。 [17:06.92]私が彼女に返せるものは情報だけなので
我能偿还的,只有给她信息、 [17:10.63]物語を聞かせる事にした。
还有给她讲故事。 [17:13.52]完全な自己満足である。
这是完全的自我满足。 [17:17.14]「……しかし、なんだな。
「……可是,唉。 [17:20.62]人のカタチをしているからといって
有着人类的外表, [17:23.42]人間の文化を押しつけるのは
就要强加上人类的文化, [17:25.11]傲慢ではないだろうか」
这是否是一种傲慢呢」 [17:28.73]待ち時間の手持ち無沙汰から
因为等待补充的时间过于无聊, [17:31.01]私は少女のドレスに手をかけた。
我把手伸向少女的裙子。 [17:34.45]姿が同じというだけで
只是外表一样, [17:36.73]人間の都合を押しつけるのは
就会被当作人类, [17:38.92]どうかと思ったのだ。
我觉得这不正常。 [17:42.13]彼女も迷惑だろうと
她肯定讨厌这样, [17:43.88]ドレスを脱がしにかかったところ。
正当我准备脱掉裙子的时候, [17:47.12]気が付くと
回过神来, [17:48.46]腹部に強烈な衝撃が走り抜けた。
腹部已经受到了一股强烈的冲击。 [17:52.52]動かないはずの少女の腕が
历史性的瞬间出现了。 [17:55.22]滑らかに稼働した歴史的瞬間だった。
少女本该无法动弹的手臂,灵活地动了起来。 [18:00.72]三キロメートル近く大気を滑っただろうか
我是不是被击飞了3公里? [18:04.66]マスドライバーもかくやといったところ。
这已经称得上是质量投射器了。 [18:08.73]岩山にひっかからなかったら
要不是撞到山上, [18:10.96]間違いなく虚空に飛び出していた。
我肯定已经飞到太空了。 [18:14.68]人間ではない知的生命体は
非人的智慧生命体 [18:17.26]二種類に分けられる。
分为2种。 [18:19.46]エイリアンとインベイダーだ。
一种是外星人,一种是星外侵略者。 [18:23.67]彼女が宇宙人ではない事は判明していたが
能够确认的是,她不是外星人, [18:26.92]侵略者でもない事を祈るしかない。
至于是否是侵略者,我只能祈祷。 [18:31.71]「昨日は申し訳ない事をしたが
「昨天做了对不起你的事情, [18:34.32]そちらも反省してほしい。
但我也希望你能自我反省。 [18:36.96]ここが地上なら
如果这是地球, [18:38.70]今ごろ君は檻の中だ。
你已经坐牢了。 [18:41.45]君には少し
希望你能认识到, [18:43.14]人間がどれほど脃いかを学んでほしいと思う」
人类有多么脆弱。」 [18:48.06]四十八時間後。
48小时后。 [18:50.77]私は新しい作業用車両を調達して
我开来了新的工作车辆 [18:54.14]少女と対峙した。
与少女对峙。 [18:56.56]正直危険に満ちていたが
说真的,这充满了危险, [18:59.82]十二時間ごとに命のやりとりをするのは遠慮したい。
我不希望每隔12小时都会面临生命危险。 [19:04.40]交渉による平和的な関係を築くべきだ。
应该通过谈判建立和平的关系。 [19:09.38]会話はできずとも
我觉得吧,虽然无法直接对话, [19:10.98]意向を伝える程度はできるだろう
但是传达自己的意思 [19:13.37]と考えての事である。
应该是能做到的吧。 [19:16.17]月の住人たちが
既然月球的居民 [19:17.50]少女を通じて星を運営していた以上
通过少女管理星球, [19:20.86]彼女には外部入力機能があるはずだからだ。
那她应该有接受外部输入的功能。 [19:25.91]手振りで
我用手势告诉她, [19:26.99]先ほどの行為はもうしない、と示すと。
不会再做刚刚的事情了, [19:30.84]彼女は一時間ほどかけて首を縦に動かし
她用一个小时点了下头, [19:35.49]こちらの謝罪を受け入れた。
接受了我的道歉。 [19:39.39]かくして
平安渡过 [19:40.63]インベイダー危機は去った。
侵略危机。 [19:43.39]少女とはこれからも
虽然依旧要 [19:44.88]十二時間ごとに顔を合わせる事になるが
每隔12小时与少女见面, [19:48.27]人間ではないので問題はない。
但是她不是人,所以没问题。 [19:53.16]「ヒトが死を怖がるのは
「人类并非怕死 [19:55.15]死にたくないからじゃない。
所以不想死。 [19:57.57]増えなくてはいけないから
而是害怕 [19:59.83]その前に死ぬことを怖がるんだ」
无法繁殖就死去。」 [20:03.59]月の森で
在月球的森林里, [20:05.24]私は一方的に話を聞かせた。
我单方面地与她对话。 [20:09.40]人間がなぜ死を禁忌するのか
人类为什么会将死视为禁忌。 [20:13.14]生命は自己保存を原則とする。
生命将生存视为准则。 [20:17.41]我々の体の設計図である遺伝子は核酸
基因是我们身体的设计图, [20:21.77]即ちDNAだ。
它是一种核酸,也就是DNA。 [20:25.41]紐状の二重螺旋で知られるこの暗号は
这种密码以纽带状的双重螺旋而闻名, [20:28.94]完全な対構造になっている。
有着完全对称的结构; [20:32.90]開始と終点を描いた紐を
记载着起点与终点的纽带, [20:35.68]上下逆に合わせたものだ。
以一种上下颠倒的样子结合在一起。 [20:38.88]これらは一本で生命の設計を
其中一条负责设计生命, [20:42.28]もう一本がその複製を担っている。
一条负责复制。 [20:46.28]どちらかが失われても
无论失去哪条, [20:48.57]残ったもう一本が存在を受け継ぎ
剩下的一条都会继续继承存在, [20:51.77]生命活動を続けていく在り方だ。
这就是延续生命活动的理想状态。 [20:56.14]我々は根本からして
我们从根本上, [20:58.43]“自分を残す”ことを最優先に設計されている。
就被设计为以“留下自己”为最优先。 [21:04.12]「増えること。
「繁殖、 [21:05.96]子供を作る
生育, [21:07.56]ということは自分の遺伝子の引き継ぎ
通过这些行为继承基因, [21:11.17]永続を意味するからね。
得到永恒。 [21:13.60]本来
按道理来说, [21:14.88]生き物は子供を作った段階で用済みになる。
生物在完成生育后就结束了使命。 [21:19.25]より優れた自分の複製が生まれた以上
既然诞生了更优秀的自我复制体, [21:22.35]古い遺伝子を生かすのは資源の無駄だ」
那么古老的基因继续活着就是在浪费资源」 [21:27.23]自分にあった異性を選ぶ
选择适合自己的异性, [21:30.08]より美しい配偶者を求めるのは
追求更完美的配偶, [21:33.08]心による働きではない。
并非是人心的决定。 [21:36.10]自分の複製に
而是出于本能, [21:37.83]より優れた遺伝子を配合するための本能だ。
希望自己的复制体能与更优秀的基因组合。 [21:43.22]我々は遺伝子の運び屋にすぎない。
我们不过是基因的运输工。 [21:46.60]人間に感情があるのは
人类会诞生感情, [21:48.97]それがもっとも効率がよく
是因为这样的系统更有效率, [21:51.43]また長続きするシステムだからだ。
更能持续。 [21:56.11]かつて五十億もの繁栄を遂げた鳥がいた
鸟类繁荣的时期,数量最高可达50亿。 [22:00.25]高等生物では敵いようのない数。
这是高级生物无法匹敌的数量。 [22:04.40]自然界において
在自然界, [22:06.15]人間サイズの生き物は
人类大小的生物 [22:08.10]そこまでの繁殖はできない。
无法做到这种程度的繁殖。 [22:11.06]しかし、結果はこれを上回った。
可是,结果却远超这个数字。 [22:15.53]五十億の鳥を食料として消費したばかりか
人类将50亿鸟类作为食物消费, [22:19.46]最後には彼等の数すら上回ったのだ。
最后远远超过了它们的数量。 [22:24.57]感情、知性は
感情和理性 [22:26.62]人生を豊かにする為のものではない。
不是为了丰富人生, [22:30.66]種が覇権を握る為の
而是取得物种霸权 [22:32.88]もっとも強い武器に他ならない。
最有效的武器。 [22:37.27]感情のない機械ではこうはいかない
没有感情的机器无法做到这种事。 [22:40.74]機械は効率だけを良しとする。
机器只在乎效率。 [22:43.95]最適な状態に行き着けば
人类如果进入了最佳状态, [22:46.66]そこで進化を止めてしまうだろう。
应该会进化成机器吧。 [22:50.75]「生命は増え続けなければならない。
「生命必须不断繁殖。 [22:53.89]それを済ますまで
在完成繁殖以前, [22:55.52]死が恐ろしくて仕方がない。
会怕死也是没办法的。 [22:58.16]しかし子供さえ育ててしまえば
但是只要开始抚养孩子, [23:01.81]死の幻想から多少は解放される。
基本能从死的幻想中解放。 [23:05.49]自分の役割を終えたからね
因为自己已经完成了使命, [23:08.31]あとは好き勝手に生きればいい。
之后想要怎样活着都行。 [23:11.41]種の存続により尽くすのも
想要继续为物种的存续尽力、 [23:14.47]利益に走るのも、個人の自由だ」
还是追求利益,都是个人的自由」 [23:18.86]もっとも
不过说到底, [23:20.65]地上の人々はその例には当てはまらない。
地球上的人根本不符合前面的例子。 [23:25.56]人類は心が強くなりすぎたのだ。
人类的心过于强大了。 [23:29.27]“あがり”を宣言され
他们宣布“游戏结束”, [23:31.30]ほとんどの未来を手に入れた彼らは
几乎得到了所有未来, [23:34.16]種の存続に縛られなくなった。
解脱了物种的束缚。 [23:38.14]自己保存も自己改革も他人事。
自我延续和自我改造已经与自己无关。 [23:42.71]彼らにとって繁殖は
对它们来说, [23:44.70]本能や義務ではなく
繁殖不再是本能和义务, [23:46.98]すでに趣味の領域に変化している。
而是成为了爱好。 [23:51.40]「それでもまだ
「即使这样, [23:53.33]趣味であるうちは救いはある。
能称得上爱好的话,还算有药可医。 [23:56.49]それさえなくしてしまったら
如果连爱好都不是, [23:59.02]私たちは生命とは呼べなくなる」
那我们也不能被称为生命了」 [24:03.77]少女はあいかわらずピクリとも動かない
少女依旧没有任何反映。 [24:08.80]こちらの話が伝わっているかはどうでもいい。
无所谓,她有没有听见都行。 [24:12.50]補充した物資分のお代は話したので
这只是作为物资的报酬, [24:15.65]早々に森を後にする。
我趁早离开了森林。 [24:19.36]月の森は変わらずに無音で、清潔だ。
月球的森林依旧无声、干净。 [24:24.98]つい足を止めて見入ってしまい
不知不觉我停下了脚步看得入迷, [24:28.09]振り返ると
转身望去, [24:29.62]少女がかすかに手をあげていた。
少女微微抬了抬手。 [24:33.85]目の前にいる羽虫を摑むような動作だった
像是在抓眼前的小飞虫。 [24:37.97]後に、あれは三十分ほどのタイムラグによる動作と判明したが。
之后,过了30分钟,我看清了她的动作, [24:44.32]この時の私には
可是当时的我, [24:46.41]彼女の思惑は測れなかった。
没能理解她的意思。 [24:50.46]「無駄な消費はよくないよ
「浪费资源不好。 [24:53.27]このタンク一杯分だけでいいんだ。
装满这个储罐就行了。 [24:56.41]無制限に使っているけど
虽然能无限地使用, [24:58.45]底をつく可能性だってある。
但也有用完的可能性。 [25:01.38]星が枯渇したら
如果星球枯竭了, [25:03.62]君だって共倒れになるんじゃないか?」
你不也会一起倒下吗?」 [25:07.81]百八十回目の補充。
第180次补充。 [25:11.85]ここのところ元素の生成量が増しているので
因为最近元素的产量增加, [25:15.22]少女にそれとなく注意した。
所以我委婉地提醒了少女。 [25:18.76]驚いたのは
惊讶的是, [25:20.27]そのおり
少女好像 [25:21.48]少女が残念そうに目を伏せた事だ。
很可惜一样,垂下了眼睛。 [25:25.42]こちらの言葉が伝わっている
她能明白我的话。 [25:28.24]なにより、意思を伝える術を学習している。
更重要的是,她在学习如何传达意思。 [25:33.12]彼女は私の話からは何も学ばなかったが
她没有从我的话里学到任何东西, [25:37.91]独自に、私を観察する事で
而是在独自观察我的时候, [25:40.44]彼女なりの成長を遂げているらしい。
自己得到了成长。 [25:44.70]その時は驚きばかりで
当时的我过于震惊, [25:47.10]なぜ、という疑問は浮かばなかった。
根本没有思考是为什么。 [25:51.97]「手の次は足ときた
「先是手,然后是脚。 [25:54.20]自立してもいいことはないと思うけど」
就算能站起来,我也不觉得是什么好事」 [25:58.20]二百四十回目の補充の頃
第240次补充的时候, [26:01.07]少女は立ち上がれるようになった。
少女已经能站起来了。 [26:04.44]地表と一体化していた手足は
原先与地面一体化的手脚, [26:07.28]これで本当に人間と同じものになった。
现在已经变得完全和人类一样。 [26:12.12]まだ立ち上がる事しかできないが
虽然现在只能站起来, [26:15.28]あの様子では歩きだす日も近いだろう。
但是看样子,用不了多久就能走路了。 [26:19.85]私にとっては小さなニュースだ。
这对我来说不过是普通的消息。 [26:22.73]それより
比起这个, [26:24.21]来る時に見かけた
我更在意我来的时候, [26:25.72]樹木の破損の方が気にかかる。
看到有些树木破损了。 [26:29.13]この森はお気に入りなのだ。
因为我很喜欢这片森林。 [26:31.85]ところどころ虫食いでは
如果全被虫子啃了, [26:33.69]精神衛生上よろしくない。
有损我的精神卫生。 [26:37.43]樹木の補修に没頭する。
我沉浸在修补树木的工作里。 [26:40.83]振り返ると
回头望去, [26:42.28]少女は満足げに笑っていた。
少女露出满足的笑容。 [26:45.70]我が事のように喜んでいるようだった。
好像是为我的行为感到开心。 [26:49.85]森の手入れが
修缮树林 [26:51.44]スケジュールに組みこまれた。
成为了日程里的一部分。 [26:55.02]「不用意に近寄らないように。
「不要突然靠近我。 [26:57.78]代えの宇宙服はないんだ
没有替代的宇航服, [26:59.95]壊されたら死ぬしかない。
要是坏了就死定了。 [27:02.58]ああ、また転んだ。
啊,又摔倒了。 [27:05.14]ヒトのように歩きたいのなら
想要像人一样走路, [27:07.53]膝関節を作りなさい」
要用上膝关节」 [27:10.44]彼女は人間と違い
她和人类不一样, [27:12.68]内部に骨格というものがない。
体内没有骨骼。 [27:15.79]骨で器官を覆っている
而是骨骼覆盖了器官。 [27:18.84]我々とは内と外が逆なのだ。
与我们内外相反。 [27:23.00]そう言う私も
说起来, [27:24.87]今では体の外側を宇宙服で覆っているので
我现在的状态也一样, [27:28.84]彼女と同じような在り方だ。
体外覆盖着宇航服。 [27:32.37]助言をしながら
我在给她建议的同时, [27:34.15]私は彼女に接触を禁じた。
也禁止她与我接触。 [27:37.45]安全性の問題だが
虽然是出于安全考量, [27:39.87]あの指に触れられたくはなかったのだ。
但我确实不想被那样的手指接触。 [27:44.09]歩行するようになって
能够行走以后, [27:46.42]ドレスは本来の役割を果たすようになった。
裙子发挥了原本的作用。 [27:50.67]石灰の樹木の合間をすり抜ける姿は
她穿梭在石灰树林间的模样, [27:54.43]まるで
就像在说。 [27:57.83]“これで、ヒトのように見えるでしょうか?”
“现在的我,看起来像人吗?” [28:02.59]無音の筈の森に、雑音が響いた。
本该无声的树林,响起了噪音。 [28:07.97]なんだろう
怎么回事。 [28:09.82]まさか地上からの通信でもあるまい。
难道是地球传来的信号。 [28:13.09]宇宙服の故障だ
或是宇航服故障。 [28:15.23]都市に戻ったらチェックしなければ。
回到都市后需要必须检查一下。 [28:18.99]少女はまだ、しつこく木々と戯れている。
少女还在和树玩耍。 [28:24.21]うまく歩けた感想を求められているのだな
我想,她应该是想要让我 [28:27.16]と私は読み取った。
对她灵活的步伐发表感言。 [28:30.31]「そうだな。
「是啊。 [28:32.49]どちらかというと
要我说的话, [28:34.47]君の体は珊瑚のようだ」
你的身体就像珊瑚一样」 [28:38.16]どうでもいい独り言に
无关紧要的自言自语, [28:40.33]少女は跳ねるようにドレスを翻した。
让少女小跳着转起了裙子。 [28:46.37]地球時間にしておよそ六ヵ月
◆我与她共度了 [28:49.06]私は彼女と過ごした。
大约6个月的地球时间。 [28:52.44]ここのところ
最近, [28:53.66]元素の生成率が低下している。
元素产出率在下降。 [28:57.21]私ひとりが生きていくには十分だが
对于维持我的生活来说还十分充分, [29:00.23]少女の負担になると思い
但我觉得会对少女造成负担, [29:02.68]末端の都市から電源を落とす事にした。
所以关闭了边缘城市的电源。 [29:06.29]ネットワークはとっくに断っている
网络早就切断了。 [29:10.29]都市の効率化ができたら再開すればいい。
如果能实现都市的高效化,重开也不迟。 [29:15.11]食料も熱量も
如果切断食物、热量、 [29:17.32]余分な機能をカットしていけば
多余的功能, [29:19.83]タンク一杯分は必要ない。
就无需填满储罐。 [29:22.82]コップ一杯分で
一杯水的分量, [29:24.68]十二時間活動できる。
就能维持12小时的活动。 [29:28.48]月の森も
◆月球的森林, [29:30.16]その大半が砂に還っている。
过半还原成了沙子。 [29:33.73]この森が少女の生存可能域なのだろう。
这片森林应该是少女能够生存的范围吧。 [29:38.01]森の衰退と共に
随着森林的衰退, [29:40.33]彼女の活力は失われていくようだった。
她也渐渐失去了活力。 [29:44.74]“ごめんなさい。
“对不起。 [29:46.75]最近はうまく星を動かせなくて”
最近没法正常地调动星球” [29:51.14]少女が口を動かす
少女活动着口部。 [29:53.90]真空に伝わる波。
振动传播在真空当中。 [29:57.93]宇宙服の故障ではない
并非宇航服发生故障。 [30:00.67]彼女は声帯まで獲得していた。
她甚至得到了声带。 [30:04.35]私には分からない
我不明白。 [30:06.48]なぜ背伸びをする
我问她 [30:08.36]と問いただすと。
为什么要勉强自己做这种事。 [30:10.31]“貴方を知りたいのです。
“我想了解你, [30:12.71]貴方に触れたいのです”
想要触碰你” [30:16.33]少女はすがるような目をして
少女露出可怜的表情, [30:18.86]声をあげた。
发出了声音。 [30:21.06]録音したが
我能够录下声音, [30:22.70]私には解読できない。
却没法解读。 [30:25.87]少女の声はどの言語にも該当しない。
少女的声音不符合任何一种语言。 [30:30.94]記録した音をテキストに置き換えても
即使把录音转录成文字, [30:33.97]そこには文字の羅列があるだけだ。
也不过是文字排列在一起。 [30:38.17]私にとって
对我来说, [30:39.90]音による言葉は
所有用声音传达的语言, [30:41.64]どれもが異国の唄と同じだった。
都与异国的歌谣无异。 [30:45.77]「君は成長を続けているな。
「你不要再成长了。 [30:49.30]前にも話したけれど
我之前也说过, [30:51.49]自己保存と改革は生命の義務であり証だ。
生命的义务和证据是自我延续和改造。 [30:57.11]しかし、君の進化はいい方向には進んでいない
可是你没有向着好的方向进化。 [31:02.04]なんだってそんな、不便な体を」
因为你有着那样不方便的身体」 [31:06.25]“そんな小難しいコトはどうでもいいのです
“这种小事根本无所谓。 [31:10.11]ただ貴方と話したいだけなのです”
我只是想要和你对话” [31:14.98]少女は胸に手を当ててこちらを睨む。
少女把手放在胸口,然后盯着我。 [31:18.61]まるで、自分の体はここにある
她的视线就像在说, [31:21.40]と言いたげな視線だった。
自己的身体就在这里。 [31:24.97]この時の私の心境は
当时我究竟怀着怎样的心境呢, [31:27.68]今でも解析できない。
就算到了现在依旧无法解析。 [31:31.29]背中から切りつけられたような冷えた痛みと
就像身体从背脊开始被切开一样的痛苦与寒冷, [31:34.91]心臓をじわりと握りしめられたような
就像心脏被逐渐握紧时, [31:38.48]小さな熱。
产生的温热。 [31:41.32]星を見下ろしていた時に感じた
就像俯瞰行星时, [31:44.42]不可思議な心の動きと同じだった。
心里传来那种不可思议的感觉一样。 [31:49.08]少女のそれは
少女出现的是, [31:50.97]心と呼ばれる生体機能だ。
名为心的生物功能。 [31:55.03]彼女には感情が生まれていた。
她诞生了感情。 [31:58.64]もうとっくに気付いていた
我早就注意到了。 [32:01.20]目を背けていただけだ。
我只是一直在无视。 [32:04.27]この生命は環境に合わせて成長するのではなく
这个生命并非与环境一同成长, [32:08.46]自身の願いを軸に成長する道を選んだのだと。
而是以自己的愿望为核心,选择成长的道路。 [32:14.46]「そうか。君は、ヒトのカタチになりたいんだな」
「是吗,你、想要变成人啊」 [32:21.30]彼女は力強く頷いた。
她用力地点头。 [32:25.53]伝え合う事のできない我々にとって
我觉得这是无法相互理解的我们, [32:28.63]たった一度きりの相互理解だったと思う。
唯一一次做到了相互理解。 [32:33.72]彼女が私に危害を加えなかった理由は
原来她不伤害我, [32:37.53]私の姿を参考にしようと思ったからだ。
是因为她想要模仿我。 [32:41.65]彼女が私に笑いかけるのは
原来她对我笑, [32:44.64]私に向けられていた好意は
对我抱有好感, [32:47.56]しかし、愛情によるものではない。
并非是因为爱情。 [32:52.11]単に、この少女が他の人間を知らないだけだ。
只是因为她不认识其他人类。 [32:59.13]時間は過ぎていく
时间流逝。 [33:02.31]彼女の変異はもう止めようがない。
已经无法阻止她变异了。 [33:06.53]少女は炭素生命へと変わろうとしている。
少女想要变成碳基生命。 [33:11.10]その先にあるものは不可逆の
这会在物种上 [33:13.76]種としての脆弱化だ。
导致不可逆转的脆弱化。 [33:17.08]月の資源も失われつつある。
月球的资源也在渐渐消失。 [33:20.69]彼女が星の頭脳体としての機能を失う事で
她丧失作为星球大脑的功能后, [33:24.59]月は死の世界に戻ろうとしている。
月球会回到死的世界。 [33:29.27]ハロー、キャプテン?アームストロング。
哈喽、船长・阿姆斯特朗。 [33:33.49]人類で初めて月に行った彼が降りる前の
月球会回到人类第一次降落月球以前, [33:37.60]人間が住むべきではない、正しい姿に。
无法让人居住的正确姿态。 [33:43.14]少女は死に向かって転がり始めた。
少女开始翻滚向死亡。 [33:47.76]彼女がヒトに近づけば近づくほど
她越接近人类, [33:50.76]星は彼女を見放すのだ。
星球越抛弃她。 [33:55.24]彼女がヒトに焦がれれば焦がれるほど
她越想成为人类, [33:58.83]私は熱を失うのだ。
我越失去热情。 [34:02.87]……ああ、それでも。
……啊、可是啊。 [34:06.94]あの美しい石が生命である事を望むのなら
如果那颗美丽的石头希望成为生命, [34:11.32]それを叶えてやらなければ。
必须成为生命的话。 [34:16.16]ロケットの修理に着手する。
我开始修理飞船。 [34:19.48]今のうちに
趁现在 [34:20.68]できるだけの資源を確保しておく。
尽可能地保存资源。 [34:24.70]七つの月面都市は
七座月面都市 [34:26.69]そのすべてが海の藻屑となるだろう。
全部成了海里的碎藻。 [34:30.33]私は自分にできる事をする。
我会尽我所能。 [34:34.20]もちろん自己保存が最優先だ。
当然,自我延续依旧排在第一位。 [34:37.26]そこを間違っては
如果不这样, [34:39.04]教授したものとして
我就没脸见 [34:40.72]彼女に合わせる顔がない。
我教出来的她。 [34:43.98]少女は日の八割を睡眠に費やしていた
少女一天有8成的时间在睡觉。 [34:48.70]眠る少女を抱きかかえる。
我抱起睡梦中的少女。 [34:51.92]あれほど触れる事を禁じていたが
果然,通过宇航服接触不会有任何触感, [34:54.79]やはり、宇宙服越しでは何の感触もない。
尽管之前不准她碰我。 [35:00.25]だから、この数値だけを覚えていよう。
所以,我要好好记录下这个数值。 [35:05.19]無重力の海では、数値だけが確かな記録だ。
无重力的海洋中,唯有数值是可靠的记录。 [35:11.97]森から都市に連れ出したところで
我从森林里带她出来的时候, [35:14.78]少女は目を覚ました。
少女醒了。 [35:17.32]意思は通じずとも
就算无法沟通, [35:19.26]何をしようとしているかは理解できるのだろう。
应该也能理解我要做什么。 [35:23.09]少女は抵抗したが
少女做出抵抗, [35:25.15]もう以前ほどの力はない。
但是没有以前大力。 [35:29.29]少女はしつこく暴れた後
少女发完脾气后, [35:31.66]睡眠に戻った。
又睡着了。 [35:34.68]一人乗りのロケットに彼女を寝かせる。
我让她睡在了单人乘坐的火箭内。 [35:38.78]なぜか、五分で済むことに
为什么,5分钟就能结束的事情, [35:41.75]何倍もの時間を要した。
却花了数倍的时间。 [35:45.46]安全性は確保したが
我确保了她的安全, [35:47.61]後で恨まれるだろう。
但是之后她会恨我的吧。 [35:50.42]なにしろ空中分解を前提にしたアプローチだ。
毕竟这个方法会在空中解体。 [35:54.65]成層圏にさえ入ればいい
只要能进入平流层即可。 [35:57.85]あとは脱出ポッドで海に落とす。
之后会通过逃生舱落入海中。 [36:01.19]弱っているとはいえ
即使身体衰弱, [36:03.13]彼女はいまだ星の分身だ。
她依旧是星球的分身。 [36:06.46]その体、外殻は即座に環境に適応する。
她的身体或者说外壳,会立刻适应环境。 [36:12.64]多少は苦痛だろうが
多少会感到痛苦吧, [36:14.61]そこは大目に見てほしい。
但是希望你能够原谅我吧。 [36:17.84]さて、発射まであと二分程度。
OK,距离发射还有2分钟。 [36:23.63]月に残った資源の八割を消費する
消耗了8成月球剩余资源的 [36:26.91]一大プロジェクトだ。
庞大计划。 [36:29.17]もともと彼女のものなので
本来就是她的东西, [36:31.80]惜しいという気持ちもない。
所以我完全不觉得可惜。 [36:35.53]センサーが波を拾う。
传感器接收到震感。 [36:38.28]ロケットの中で
火箭里传来 [36:39.90]壁を叩く音がする。
敲击墙壁的声音。 [36:43.24]覗き窓には
舷窗后出现了 [36:44.73]もうくすんでしまった
已经黯淡了的 [36:46.43]亜麻色の髪が見えた。
亚麻色头发。 [36:49.99]やる事もないので
已经没我的事了, [36:52.12]いつも通り
所以我和以往一样, [36:53.71]私は彼女に話しかける。
向她搭话。 [36:57.35]「落ち着いて
「安静一下, [36:59.63]君に、私はもう必要ない。
你已经不需要我了。 [37:03.33]その心は人恋しいだけなのです
你现在的感情叫作留恋。 [37:08.02]ですから、あの星に落ちなさい
所以,你去那颗星球吧。 [37:11.61]あそこには君の望む全てがある」
那里有你想要的一切」 [37:16.83]“違うのです
“不对, [37:19.40]私は人間に恋をしたのではありません
我并非爱上了人类。 [37:23.08]貴方に恋をしたのです”
我是爱上了你” [37:26.70]「気遣いはいらない。
「我不需要你的关心, [37:29.22]これから僕は
接下来, [37:30.95]かつての君と似たようなものになる。
我会像曾经的你一样。 [37:35.06]資源が途絶える以上
资源枯竭以后, [37:36.98]人間としてはやっていけないからね。
我也没法继续做人了。 [37:40.60]もともと
不过从一开始, [37:41.87]そういう風になる予定だったんだ、僕は。
我就是这么打算的。 [37:46.43]だから
所以, [37:48.26]以前までの君と同じく
我会和以前的你一样, [37:51.02]寂しくはなくなるよ」
不再孤单」 [37:54.03]“それも違うのです
“不对, [37:56.67]それではいずれ
这样的话, [37:58.31]貴方の方が人恋しくなる”
你总有一天也会爱上别人” [38:02.40]唄は、私には分からない。
我无法理解歌声。 [38:07.83]それでも不思議と
但是,我却明白,传来的振动 [38:09.29]不快ではない波だった。
并非无法理解或者让人觉得不悦。 [38:13.25]壁を叩く音は強くなる一方だ。
敲击声越来越大。 [38:17.76]まさか突き破ってこないだろうな
难道她会冲出来吗, [38:20.53]と思って、私はつい笑ってしまった。
我不禁露出了笑容。 [38:26.48]私は計画の中止を懸念したのではなく
我并非担心计划会中止, [38:30.75]そんな事をしでかした場合の
而是因为她做出这种事, [38:33.39]彼女の健康を案じたのだ。
担心她的身体安全。 [38:37.30]普段の私からは考えられない行為
以前的我,压根不会有这种想法。 [38:40.64]いや、それこそ間違いだ。
不,这才不对。 [38:44.50]この星にきてからずっと
自从来到这颗星球, [38:46.69]自分はあの少女の為に活動してきた
我就一直在为了少女而活动。 [38:50.71]あの少女を想わない日はなかった。
我没有一天不关心这位少女。 [38:50.91]だから別に
所以现在的心境, [38:56.49]今の心の働きは珍しい事でもない。
并不出奇。 [39:01.59]自分がそうでありたいと願った
这就是我在这颗星球上 [39:04.65]この星で繰り返してきた
反复经历的、曾经渴望的、 [39:07.51]忘れがたい日常だ。
难以忘怀的日常。 [39:11.26]「……ああ。
「……啊, [39:13.10]以前、生命の定義の話をしたね。
以前,我曾和你说过生命的定义对吧。 [39:17.88]増えることを放棄したものは
放弃繁殖的生物 [39:20.30]生命ではないと
不能称为生命。 [39:22.77]その通りだ。
没错。 [39:25.55]君が生命になるというのなら
既然你成为了生命, [39:28.56]子孫を残さなければいけない」
那你一定会留下子孙」 [39:31.98]“待ってください。
“等等, [39:33.92]せめて最後に
那怕只有一次, [39:35.63]一度だけでも
至少在最后, [39:37.52]貴方と話がしたいのです”
我也想要和你对话” [39:40.95]この少女を地球に落とす判断は悪だ
让这位少女降落到地球,是罪恶的判断。 [39:45.68]人類にとどめをさす行為かもしれない。
这也许是会被人类讨伐的行为。 [39:49.60]が、もともと私の人類愛は故障している。
不过,我的爱人功能本就有故障。 [39:55.35]だからこそ、こんな世界にやってきた
所以,我才会来到这个世界。 [39:59.97]だからこそ、こうやって失う時にしか
所以,我才会像这样,在失去某物的时候, [40:04.58]心の所在に気付かなかった。
没能发现自己的真心。 [40:08.30]罰のように思い出す
这些想法就像在惩罚我。 [40:11.51]私はそういう人間だったのだと。
告诉我我就是这样的人类。 [40:17.22]「人間がイヤで
「我讨厌人类, [40:19.59]何もかもを見限って
所以舍弃了一切, [40:22.05]月に昇ってきたのです。
来到月球。 [40:25.89]そんな私が
这样的我, [40:28.04]人を愛する訳にはいきません」
没有资格爱人。」 [40:32.81]多くの人々と同じ
我和大部分人一样, [40:35.53]弱く、身勝手な人でなし。
软弱、任性、不配做人。 [40:40.17]そんな機械に
哪怕是这样机械的我、 [40:42.55]他人を思いやる機能はないとしても
没有爱人功能的我。 [40:49.88]「――でも、君に恋をした」
「——依旧,爱上了你」 [40:56.70]幸福の意義など考えずに
我没有思考过幸福的含意。 [40:59.76]貴方には穏やかであってほしいと
即使是出于自私, [41:02.90]身勝手にも願ったのだ。
我也希望你能够平平安安。 [41:07.35]目を覆う光と熱
光与热遮住了眼睛。 [41:11.06]ロケットは尾を引いて
火箭拖拽着尾巴, [41:13.39]暗い星に落ちていく。
落向暗淡的星球。 [41:17.01]舟は虚空に。
小船飘浮在太空中。 [41:20.45]私はそれを
我透过镜头 [41:22.24]レンズ越しに眺めている。
望着它。 [41:27.86]星が去っていく
星球渐渐死去。 [41:31.28]君が去っていく。
你渐渐地离开。 [41:35.37]私は今
现在的我, [41:37.91]かつてないほど人間的だ。
比以往任何时候更像人类。 [41:42.65]そうか。
原来是这样啊。 [41:45.88]恋を知る為に
我是为了知晓爱意, [41:48.23]私は月に昇ったらしい。
才来到了月亮上。 [41:51.45] [41:54.12](四)
(四) [41:56.34]今年の寿命も数えるほど
今年剩下的寿命已经屈指可数。 [42:00.09]十二回目の満月の夜。
今天是第12个满月之夜。 [42:03.40]あと十日足らずで今年は用済みで
还有不到10天,今年就结束了, [42:06.45]また、あてのない一年をはじめていく。
然后,又会开启一个没有计划的新年。 [42:11.39]わたしは高台から
我在岛屿的高处, [42:13.42]三日月に灯る海岸線を眺めている。
欣赏着新月点亮的海岸线。 [42:17.69]今夜は一段と明るい海
今夜的大海比以往更加明亮。 [42:21.13]吹く風は温かくも冷たくもない。
吹起的风舒适得恰到好处。 [42:25.94]冬という季節は
冬天这种季节 [42:27.82]この島には無縁のモノなのだ。
与这座岛屿无缘。 [42:31.99]「空に水、水に空。
「天空映水。水映天空。 [42:35.20]月の空には砕け散った海がある」
月空之下,碎海无垠。」 [42:40.47]一説によると
据说, [42:42.39]この島に緑が蘇ったのは
这座岛上的绿植之所以复苏, [42:45.46]島の近くに隕石が落下してからだという。
是因为曾经有颗陨石落在了岛屿的附近。 [42:50.59]その後
在那以后, [42:51.97]月の珊瑚と呼ばれる
诞生了全新的海洋世界, [42:53.83]新しい海洋世界ができあがった。
名字叫月之珊瑚。 [42:58.02]ちなみに最初のおばあちゃんは
随便一提,我的始祖奶奶 [43:00.38]亡くなる間際
在快要逝世的时候, [43:02.06]海に入ったまま戻ってこなかった。
进入了海里,再也没回来。 [43:05.95]月のいちばん見える夜
珊瑚会在 [43:08.45]珊瑚が光るようになったのは
月亮能见度最清晰的夜晚发光, [43:10.87]それ以来という話。
也是在那以后的事情。 [43:14.24]「星はまたたく
「群星闪闪放光、 [43:16.11]海はさざめく
大海沙沙作响。 [43:18.21]人恋しくて珊瑚は謳う。
恋慕之情令珊瑚讴歌。 [43:21.35]わたしたちは海月みたいに
我们宛如一只只水母, [43:23.84]ふわりふわりとその日ぐらし」
轻飘飘地将日子重复」 [43:28.24]「おや。今夜はまた、一段と元気そうです」
「哎呀,今晚的你看起来更有活力了」 [43:33.76]ブリキの彼は例の小舟と共に現れた。
铁皮的他与小船一同出现。 [43:38.11]かすかな光を撒いて飛ぶ姿は
飞翔的模样带着微微的光芒, [43:40.86]ちょっとだけ流星のよう。
就像流星一样。 [43:44.42]わたしが元気なのは
我会有活力,应该是受到了 [43:46.44]月の満ち欠けの影響だろう。
月亮阴晴圆缺的影响吧。 [43:49.11]ちゃんとご飯も食べているし
而且我吃还过饭了, [43:51.83]気持ちの問題もあって
今晚的心情 [43:53.66]今夜は特に調子が良い。
真的相当不错。 [43:56.39]反面、彼はやや歯切れが悪い
不过,他语气反倒有些奇怪。 [44:00.67]訊ねてみると
我试着问了问他, [44:02.27]そろそろ食料が切れるのだという。
原来,他的食物快吃完了。 [44:06.42]「はいこれ。わたしの本、受け取って。
「嗯,给你。我的书你拿走吧, [44:10.18]その代わり、あの貝殻はいただくわ」
作为交换,那个贝壳我要了」 [44:13.92]「それは良かった。
「太好了, [44:15.72]最後にいい取引ができました」
在最后完成了一桩好买卖」 [44:19.57]舟の甲板がお鍋のフタみたいに開く
小船的甲板像锅盖一样打开, [44:24.69]彼は自分より大きな本を抱えて
他抱着比自己大的书, [44:27.58]ちまちまと中に入っていく。
一点点搬入里面。 [44:30.76]わたしはその隙に
我稍微偷看了一下 [44:32.49]ちょっとだけ覗き見る。
锅盖的缝隙。 [44:35.26]中は別世界に繫がっていた。
里面连接着其他的世界。 [44:39.17]わたしの部屋より広そうな空洞に
比我房间还大的空间内, [44:41.94]一面の金銀財宝。
堆满了金银财宝。 [44:44.69]その真ん中に
他把书 [44:46.18]彼は本をちょんと置いた。
小心地放在了正中央。 [44:48.78]少しだけ恥ずかしく
有点让人害羞, [44:51.20]少しだけ誇らしい。
又有点自豪。 [44:54.67]「最後?貴方、もう島にはやってこないの?」
「你说最后?你不会再来这座岛了吗?」 [45:00.32]「島というより
「不要说这座岛, [45:02.11]こちらに渡ってくる事自体が難しいのです。
光是来这个地方就很困难了。 [45:05.98]こう見えて、だいぶん無理をしていまして
别看我这样,其实我是在硬撑。 [45:09.55]地球の重力は私には重荷なのです。
地球的重力对我来说是严重的负担。 [45:13.28]この機体も軽量化したものですし」
这台飞行器也是轻量化的产物。」 [45:17.13]わたしは息を吞んだ。
我屏住呼吸。 [45:20.34]死を迎える今年のように
就像迎来死亡的这一年一样, [45:23.18]彼もまた
他也会 [45:24.77]回顧録に仕舞われる事なく去っていく。
不留下任何痕迹地离开。 [45:29.36]別段、嘆くこともない。
没什么好感慨的。 [45:32.83]いまの人類にとって一期一会はスタンダード
对现在的人类来说,有些东西一辈子只见一次非常正常。 [45:37.15]わたしだって情の薄いと評判の一姫さまだ。
就连我自己,也被人称作薄情的公主大人呢。 [45:42.71]そんなコトで躍起になって
为了这种事 [45:44.87]引き留めたりこだわったりするのは
激动地挽留对方, [45:46.76]自分らしく――いや。
根本不像自己…不对。 [45:51.16]そんなところまで
这样的话 [45:52.83]先人の轍を踏んでどうする。
又会重蹈先人的覆辙。 [45:55.69]カタコトでも
哪怕一两句也好, [45:57.20]わたしたちは話し合うコトができるのだ。
我们是能够沟通的。 [46:01.67]「相談事があるの
「我有事想跟你商量。 [46:03.70]意見を聞かせてくれないかしら」
你能说说你的意见吗」 [46:07.03]挑むような気持ちで言うと
以挑战对方的口气提问, [46:09.57]彼は真面目に向き合ってくれた。
他也会认真地回应我。 [46:12.97]といっても
不过, [46:14.31]相談事なんて一つもない。
其实我没有要商量的事。 [46:17.21]あれこれ考えたあげく
反复思考过后, [46:19.43]求婚について相談した。
我决定商量求婚的问题。 [46:22.21]島のしきたり
根据岛上的习俗, [46:24.29]本土からやってくる殿方
我要与远道而来的男士 [46:25.97]との御簾越しの逢瀬。
隔着竹帘幽会。 [46:28.58]常識はずれの交換条件を突きつけるコトを
你对这种违背常识的不对等条件 [46:31.97]どう思うか。
有什么想法。 [46:34.51]彼は小さな両手を組んで
他的小手交叉在一起, [46:37.04]なるほど、と納得声。
发出理解了的声音。 [46:40.79]「貴方は誠実なのです
「你很诚实。 [46:43.10]そういうヒトを知っています。
我确实知道这件事。 [46:45.41]確かな証がないと
虽然没有证据, [46:47.21]ヒトを思いやるコト
但我觉得 [46:48.40]も欺瞞だと感じてしまう。
体贴也是种欺骗。 [46:50.91]それは貴方が
但是,这是你 [46:52.97]自分より相手の人生を
充分为了对方的人生 [46:54.47]よく考えている結果でしょう。
考虑的结果。 [46:57.49]貴方の愛は
你的爱, [46:59.22]とても人間的なのですね」
十分像人类。」 [47:02.66]月が眩しい。
月光变得耀眼。 [47:05.44]わたしは何分もかけて
我伸出手, [47:07.83]目の前にいる鳥を捕まえるような
像是要抓住 [47:10.70]羽虫を摑むような動作で
眼前的飞鸟或者小虫, [47:13.17]手を持ち上げかけて、押し止めた。
最后却又停了下来。 [47:18.64]「そろそろ時間です
「是时候了。 [47:20.52]この周期を逃すと帰れなくなる。
错过现在就回不去了。 [47:23.91]読み書きは文化の基本なので
识字是文化的根本, [47:26.21]できるだけ長く覚えておいてください」
请你务必牢记。」 [47:30.01]「そうね。次はもっとうまくなっているわ」
「是啊,下一次我会写得更好」 [47:34.55]「次?」
「下次?」 [47:36.09]「ええ。もう一冊書く予定ができてしまったから
「嗯,我打算再写一本书, [47:40.89]さっきの本に新解釈をまぜたものだけど」
为刚刚那本书加入新的解释」 [47:44.97]本当のことだ
没错, [47:47.40]あの貝殻の声を聞いた以上
既然听见了贝壳里的声音, [47:50.35]新しい物語を残さないと。
我就必须留下新的故事。 [47:54.06]「魅力的な案件だ
「提议很有魅力, [47:56.08]商売上手ですね。
你很会做生意嘛。 [47:58.72]ちなみに
顺便问问, [48:00.11]代金はどれほどでしょう」
定价是多少」 [48:02.83]「月のサカナを用意できる?」
「你能准备好月球上的鱼吗?」 [48:06.16]誰もが逃げだす無理難題。
让别人逃之夭夭的难题。 [48:09.48]その困難さを空想ではなく
他却明白,这道难题 [48:12.60]現実として知っている彼は。
并非空想,而是现实, [48:15.75]「サカナというのは
「游鱼, [48:17.42]昔の海にいた生命ですね。
是曾经生活在大海的生命对吧。 [48:20.55]ふむ、月に海を作るのはたいへんそうだ。
哼哼,要在月球上创造海洋可不容易。 [48:24.94]私には荷が重いですが
对我来说是个重担,但是呢, [48:27.38]それで貴方と取引ができるのなら
如果能用来与你交易, [48:30.14]損ではないと判断しました」
我认为并不吃亏。」 [48:33.53]甲板から、にょっきりと舵が伸びる
甲板上,升起了高高的船舵。 [48:37.47]彼は舵をにぎって、西の空に船首を返す。
他握紧船舵,让船头对准西边。 [48:43.47]「そうだ。珊瑚の真相は分かりましたか?」
「话说。你知道珊瑚的真相了吗?」 [48:47.79]「ちっとも。
「完全不知道。 [48:49.43]でも、おばあちゃんの願いは叶ったみたい」
但是,奶奶的愿望似乎实现了」 [48:54.46]その話については、新しい本の中で。
关于这个故事,我会写在新书里。 [49:00.06]「良かった。それを楽しみに、難題を解くとしましょう」
「很好,我会怀着期待,解开难题」 [49:06.32]それでは、と残して、小舟は虚空へと飛んでいった。
留下这句道别,小船就飞往了太空。 [49:13.00]明日の夜には十六夜の月を横切って
我想,他一定会在明天的夜晚,穿过阴历十六夜的月亮, [49:17.30]遠い空に落ちていくのだろう。
落在遥远的天边。 [49:20.95]ふと、美しい声を聞いた
突然,我听见了美丽的声音。 [49:25.85]貝殻にあった唄が記憶と共に蘇る。
贝壳里的歌谣与记忆一同复苏。 [49:31.01]あれから何百年
自那以后已经过了几百年。 [49:33.83]彼と彼女は永遠の没交渉。
他与她再也没有来往。 [49:38.69]月に咲いた花は地上に落ちて
盛开在月球上的鲜花飘落到了地球, [49:41.51]平凡なモノになったけれど
即使平平无奇, [49:43.91]多くの種を残した。
依旧留下了许多种子。 [49:47.03]彼の教えを叶えるように。
他的教诲似乎实现了。 [49:50.43]愛は趣味だと彼は言ったけれど
他曾说,爱情是一种爱好, [49:53.57]本能より優れた趣味もあるらしい。
但是,这似乎是比本能更优越的爱好。 [49:57.36]だからこそ人々は
正因为如此, [49:59.46]今まもしつこく生きている。
人们才会顽强地活着。 [50:03.76]「ああ――」
「啊——」 [50:06.14]珊瑚が光る理由なんて
珊瑚发光的原因 [50:08.59]それだけのコトに違いない。
不过如此。 [50:12.30]最後まで分かり合えることは
到了最后, [50:14.89]意思を伝え合うことはなかった。
还是没能相互理解。 [50:18.30]一方通行の恋路
没有回应的恋爱。 [50:21.17]ひとりよがりの決断。
自以为是的决定。 [50:24.06]でも、互いの幸福だけを祈っていた。
可是,都希望对方幸福。 [50:29.96]それで残るものがあるコトを
即使曾经的他们并不相信, [50:32.58]彼と彼女は信じていなかっただろうけど。
但也因此留下了某些东西。 [50:38.08]「なんて、幸せな人たちだろう」
「多么幸福的人啊」 [50:43.70]彼女の声を口ずさむ
她轻轻地哼了起来。 [50:46.51]懐かしい歌を思い出す
是一首怀念的歌。 [50:50.16]触れあえずとも命は遠いそらの彼方に。
即使无法触及对方,但我知道,生命就在遥远的天边。 [50:57.95]光る海、謳う珊瑚。
大海闪烁、珊瑚讴歌。 [51:02.79]――今も、貴方に恋をしている。
——现在,依然爱慕着你。
月の珊瑚2-坂本真綾热门评论
我觉得这个故事是奈须蘑菇写过所有故事里最精髓的一个,他其他作品里表现出来的所有特质,优点都浓缩在这个作品里了,如果别人问蘑菇的作品到底哪好看,把这个小短篇丢给他就行了。
“真是一对幸福的人啊。” 轻轻哼起她的声音。 脑中浮现出一首让人怀念的歌。 那是献给再也无法相见、位于遥远天空彼岸的他的歌谣。 大海放光。珊瑚轻唱。 ——我现在,依然爱着你。
【大海放光。珊瑚轻唱。 ——我现在,依然爱着你。】蘑菇的浪漫啊……